メモNo.5 誘発型能力について
2013年8月8日今日のFLのメモは「誘発型能力について」でございます。
MtGのカードは、大抵何かしらの能力を持っています。
その中で誘発型能力と言えば、決まったタイミングや何かが起こったときに発生する効果のこと。
ひとくちに誘発型能力と言っても、その種類は数え切れないくらいあります。
今のスタンダード(イニストラード・ブロック&ラヴニカへの回帰ブロック)だけでも、賛美や不死、進化、あるいは《復活の声》の能力などがよく知られています。
…と、ちょっと説明してみましたけど、MtGプレイヤーならみんなお馴染みですよね。
○ 誘発型能力のまわりで起こる色々
数え切れないくらいある誘発型能力の中には、難しいものもたくさんあります。
また、1つ1つは簡単でも、いくつかが絡まりあうと難しい…ってこともあります。
今回はこの誘発型能力について、FLがメモしておきたいと思ったことを書いていきます。長いメモになりそうです。
◎ 「《国境地帯のレインジャー》を出しましたが、土地を探したくありません。これ、探さないことは出来る?」
これ、出来ます。
誘発型能力の効果のなかには、行動をするかしないかを選択できる(中略)ものがある。コントローラーがその能力の選択をする意図があるかどうかに関係なく、その能力は誘発したときにスタックに積まれる。選択は能力の解決時に行なう。(CR603.5)
・"~してもよい"って書いてある誘発型能力は、誘発はするんだけど、本当にそうするかどうかは解決のときに決めるんだよ。
《国境地帯のレインジャー》の能力は、「加えてもよい」と書いてあるので、行動するかしないか選べる誘発型能力です。
こういった能力は、プレイヤーがその行動をする気があるかないかにかかわらず、常に誘発はします。実際にそうするかどうかを決めるのは、その能力の解決時です。
なので、土地を探すかどうかは解決時に決めるのであって、探さないことも出来る…ということ。
◎ 「ライブラリーが200枚以上ある状態で《機知の戦い》が誘発した後、解決前にライブラリーが削られて200枚未満になりました。これ、能力を解決したら勝てる?」
これ、勝てません。
誘発イベントのすぐ後に記される条件付きの誘発型能力(中略)は、誘発条件の一部として条件が真かどうかをチェックする。条件が真でないなら、能力は誘発しない。また、解決時にも再び条件をチェックし、条件が真でなくなっていた場合、能力は何もしない。(中略)このルールは「"if"節のルール」と呼ばれる。(CR603.4)
・とある書き方で条件が書かれた誘発型能力は、その条件が満たされてないと誘発しないんだよ。それに、解決するときにも条件が満たされてないと、何も起こらないの。
「誘発イベント、条件(~場合)、効果」という書き方の誘発型能力は、"if"節のルールと呼ばれるルールに従います。
《機知の戦い》の能力も、「あなたのアップキープの開始時に(誘発イベント)、あなたのライブラリーに200枚以上のカードがある場合(条件)、あなたはこのゲームに勝利する。(効果)」と書かれているので、"if"節のルールに従います。
"if"節のルール
(1)誘発イベントが起きても、条件が満たされていなければ、誘発しない。
(2)能力が誘発しても、解決するときに条件が満たされていなければ、何も起こらない。
これを《機知の戦い》に当てはめると、こうなります。
(1)あなたのアップキープの開始時になっても、あなたのライブラリーが200枚以上なければ、誘発しない。
(2)能力が誘発しても、解決するときにあなたのライブラリーが200枚以上なければ、何も起こらない。
つまり、今回は能力の解決時にライブラリーが200枚未満なので、解決しても何も起こらない…ということ。
◎ 「《秘密を盗む者》が攻撃しましたが、ダメージを与える前に《濃霧》が撃たれました。これ、カード引ける?」
これ、引けません。
能力は、その誘発イベントが実際に発生したときにのみ誘発する。軽減されたり置換されたりしたイベントによって誘発することはない。(CR603.2f)
・能力が誘発するはずのことが、違うことになったり軽減されたりしたら、その能力は誘発しないよ。
戦闘ダメージを与える、というイベントは《濃霧》によって軽減されています。そして、軽減されたイベントによっては、能力は誘発しません。
よって、《秘密を盗む者》の能力は誘発しないので、カードは引けない…ということ。
◎ 「《霊異種》の1番目の能力を、終了ステップ中に起動しました。これ、いつ帰ってくる?」
これ、次のターンの終了ステップの開始時に帰ってきます。
《霊異種》の1番目の能力は、次の終了ステップの開始時に誘発する誘発型能力を作ります。
(このように、出来た瞬間に誘発するのではなく、後のあるタイミングで遅れて誘発するものを遅延誘発型能力と言います。)
《霊異種》を戦場に戻す能力が誘発するのは、それが作られた瞬間…つまり《霊異種》の1番目の能力が解決された瞬間から見て、次の終了ステップの開始時です。
今回の場合、今は終了ステップの途中です。この終了ステップの開始時は既に通り過ぎているので、《霊異種》がこのターン中に戦場に戻ることはありません。
よって、《霊異種》が帰ってくるのは、次のターンの終了ステップの開始時…ということ。
◎ 「《テューンの大天使》と《吸血鬼の夜鷲》で対戦相手に戦闘ダメージを与えました。これ、《テューンの大天使》の能力は何回誘発する?」
これ、2回誘発します。
能力は、その誘発イベントが発生するたびに一度だけ誘発する。しかし、そのイベントが複数の出来事を含んでいる場合、複数回誘発することもある。(CR603.2c)
・誘発型能力はイベント1回で1度だけ誘発するよ。でも、イベントによっては何回か誘発するかもしれないんだ。
《テューンの大天使》と《吸血鬼の夜鷲》は、それぞれが絆魂によってライフを回復させます。
つまり、ここでは「《テューンの大天使》がダメージを与えてライフを得る」と「《吸血鬼の夜鷲》がダメージを与えてライフを得る」という2つのイベントによってライフが回復しています。
なので、《テューンの大天使》の能力は2回誘発する…ということ。
◎ 「クリーチャーを追放している《悪鬼の狩人》に《雲隠れ》を撃ちました。これ、誘発型能力はどういう順番になる?」
これ、好きな順番でスタックに積めます。
能力が誘発すると、次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時点で、そのコントローラーはそれをスタックに置く。(CR603.3)
プレイヤーが最後に優先権を得たときよりも後で複数の能力が誘発した場合、APNAP順で、プレイヤーは自分のコントロールする能力を自分の選んだ順序でスタックに積む。(CR603.3b)
・誘発した能力をスタックに積むのは、次に誰かが優先権を得るときだよ。
・一気にいくつかの能力が誘発したら、APNAP順(※)で、自分のを好きな順番で積めるの。
(※APNAP順…ターン中のプレイヤーから時計回り)
能力が誘発したとき、それは次に誰かが優先権を得るときにスタックに積まれます。
《雲隠れ》で《悪鬼の狩人》が明滅する場合、ゲームは以下のように進みます。
《雲隠れ》が《悪鬼の狩人》を対象に唱えられ、プレイヤー全員が優先権をパスする。
↓
《雲隠れ》が解決されて《悪鬼の狩人》が明滅する。
(戦場を離れたときの能力と、戦場に出たときの能力が誘発する。)
↓
《雲隠れ》の解決が終わった直後、プレイヤーが優先権を得る時点で、先ほど誘発した《悪鬼の狩人》の2つの能力をスタックに積む。
《雲隠れ》の解決中、《悪鬼の狩人》は戦場を離れてからもう1度戦場に出ます。
ですが、誘発した能力が実際にスタックに置かれるのは、誰かが優先権を得る時点です。
プレイヤーが優先権を得るのは《雲隠れ》の解決が終わった後、つまり両方の能力が誘発した後なので、2つの能力は同時にスタックに積まれることになるのです。
そして、いくつかの能力が同時にスタックに積まれるときは、APNAP順で1人ずつ、自分のコントロールする能力を好きな順番で置くことが出来ます。
今回の場合、《悪鬼の狩人》の2つの能力のコントローラーは同じなので、どちらを先に積んでも構わない…ということ。
おまけ
《悪鬼の狩人》を《雲隠れ》で明滅させると、戦場を離れたときの能力と戦場に出たときの能力は好きな順番でスタックに積めます。
ただし、もともと悪鬼の狩人で追放していたクリーチャー(Xとします)は、新たに追放しなおすことが出来ません。
新たにクリーチャーを追放する能力がスタックに乗る時点では、Xを戦場に戻す能力も解決されていないので、Xはまだ追放領域にいます。つまり、Xは新たにクリーチャーを追放する能力の対象にすることが出来ないのです。
◎ 「《情け知らずのガラク》の忠誠カウンターが2個になりましたが、変身する能力が《もみ消し》により打ち消されました。これ、どうなる?」
これ、もう1度誘発します。
誘発型能力の中には、イベントの発生したときに誘発するものの他に、(中略)ゲームの状況によって誘発するものがある。それらの能力はゲームの状況がその条件を満たしたら即座に誘発し、次の機会にスタックに積まれる。これらの能力を状況誘発型能力と呼ぶ(中略)。状況誘発型能力は、その能力が解決されるか打ち消されるなどでスタックから取り除かれるまでは再び誘発することはないが、それ以降にその能力を持つオブジェクトがまだその領域に残っていてゲームの状況が誘発条件を満たしていた場合には、その能力は再び誘発する。(CR603.8)
・ゲームの状況で誘発する能力は、1回スタックに乗ったらそこからなくなるまで誘発しないけど、その後でまだ誘発しそうだったらもう1度誘発するの。
誘発型能力の中で、プレイヤーの手札がないときや特定のパーマネントをコントロールしているときなど、ゲームの状況によって誘発する能力を状況誘発型能力と呼びます。
状況誘発型能力は、それが解決したり打ち消されたりした後、それでもまだ誘発条件が満たされていたら再び誘発します。
《情け知らずのガラク》が変身する能力の条件は、「《情け知らずのガラク》に乗っている忠誠カウンターの数が2個以下である」ということです。
今回の場合、1度誘発した後で《もみ消し》によって打ち消され、《情け知らずのガラク》は裏返りませんでしたが、その上にある忠誠カウンターの数は2個のままです。
そのため、まだゲームの状況が誘発条件を満たしているので、変身能力はもう1度誘発する…ということ。
◎ 「プレイヤーAが《鏡割りのキキジキ》で《灰色熊》のコピーを作った後、プレイヤーBが《威圧》でコピー《灰色熊》のコントロールを奪いました。そのまま終了ステップになりましたが、これ、どうなる?」
これ、そのまま戦場に残ります。
起動型あるいは誘発型の能力が遅延誘発型能力を生成した場合、(中略)コントローラーは生成する能力の解決時のコントローラーである。(CR603.7e)
自分のコントロールしていないパーマネントを生贄に捧げることはできない。(CR701.14a)
・起動型能力か誘発型能力が遅延誘発型能力を作ったとき、作られた能力のコントローラーは、作った能力が解決されたときのコントローラーと同じになるよ。
・自分がコントロールしていないものは、生贄に捧げられないんだ。
この場合、《鏡割りのキキジキ》の能力によって、次の終了ステップの開始時にコピー《灰色熊》を生贄に捧げるという遅延誘発型能力が作られています。
《鏡割りのキキジキ》の能力の解決時のコントローラーはAなので、その遅延誘発型能力もAのコントロール下で誘発します。
さて、今回は終了ステップを迎えたとき、コピー《灰色熊》のコントローラーがBになっています。
終了ステップの開始時に、遅延誘発型能力が誘発します。その能力のコントローラーはAなので、Aがコピー《灰色熊》を生贄に捧げようとします。
しかしながら、Aはコピー《灰色熊》をコントロールしていないので、それを生贄に捧げることが出来ません。
結果、終了ステップの開始時に生贄に捧げる能力は、Aがそう出来ないので失敗し、何も起こらない…ということ。
◎ 「蘇生した《地獄火花の精霊》に《雲隠れ》を撃ちました。これ、どうなる?」
これ、戦場に帰ってきますし、終了ステップの開始時に追放することもありません(生贄に捧げる能力は誘発します)。
《地獄火花の精霊》の蘇生能力によって、戦場を離れる場合に代わりに追放するという置換効果と、次の終了ステップの開始時に追放するという遅延誘発型能力が作られています。
この状態で、《地獄火花の精霊》に《雲隠れ》を撃ったときにどうなるか? また、次の終了ステップの開始時に何が起こるか?
1つずつ見ていきましょう。
《地獄火花の精霊》に《雲隠れ》を撃ったら?
《地獄火花の精霊》が戦場を離れようとするので、置換効果が適用されます。
ですが、これをよく見ると、「追放する代わりに追放する」という結果になっており、《地獄火花の精霊》を追放することは成功しています。
そしてそのまま《雲隠れ》の解決が続き、《地獄火花の精霊》は戦場に戻ってくる…ということ。
終了ステップが始まると?
《雲隠れ》によって明滅した《地獄火花の精霊》は、もともと蘇生によって戦場に戻った《地獄火花の精霊》とは違う、新しいオブジェクトになっています。
なので、終了ステップの開始時の遅延誘発型能力は誘発しますが、追放するはずだったオブジェクトがもう戦場にないので、何も起こらない…ということ。
ただし、「終了ステップの開始時に、地獄火花の精霊を生け贄に捧げる。 」という能力は通常通り誘発します。
ちなみに、戦場を離れる場合追放するという置換効果の方も、新しいオブジェクトになっているため無くなります。
○ FLの感想
さて、予想通り、とっても長いメモになってしまいました。
途中でタグを間違えたりして、かなりキツかったです…。
誘発型能力は、MtGのルールの中でも基本的な部分。だけど、物凄く種類が多いせいか、物凄く難しいと思います。
誘発型能力について調べていると、他の複雑な(それだけで1つのメモが出来そうな)ルールにもたくさん関わっていくので、しっかり理解しようとするとかなり大変です。
だけど、つまりそれは、誘発型能力について調べていくと、どんどんMtGについて詳しくなれるということ。
頑張ってこれを覚えて、正しくMtGを遊び尽くしたいです。
それではFLでした。
MtGのカードは、大抵何かしらの能力を持っています。
その中で誘発型能力と言えば、決まったタイミングや何かが起こったときに発生する効果のこと。
ひとくちに誘発型能力と言っても、その種類は数え切れないくらいあります。
今のスタンダード(イニストラード・ブロック&ラヴニカへの回帰ブロック)だけでも、賛美や不死、進化、あるいは《復活の声》の能力などがよく知られています。
Voice of Resurgence / 復活の声 (緑)(白)
クリーチャー ― エレメンタル(Elemental)
対戦相手1人があなたのターンに呪文を1つ唱えるたび、または復活の声が死亡したとき、「このクリーチャーのパワーとタフネスは、あなたがコントロールするクリーチャーの総数に等しい。」を持つ緑であり白であるエレメンタル(Elemental)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
2/2
…と、ちょっと説明してみましたけど、MtGプレイヤーならみんなお馴染みですよね。
○ 誘発型能力のまわりで起こる色々
数え切れないくらいある誘発型能力の中には、難しいものもたくさんあります。
また、1つ1つは簡単でも、いくつかが絡まりあうと難しい…ってこともあります。
今回はこの誘発型能力について、FLがメモしておきたいと思ったことを書いていきます。長いメモになりそうです。
◎ 「《国境地帯のレインジャー》を出しましたが、土地を探したくありません。これ、探さないことは出来る?」
Borderland Ranger / 国境地帯のレインジャー (2)(緑)
クリーチャー — 人間(Human) スカウト(Scout)
国境地帯のレインジャーが戦場に出たとき、あなたはあなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、それを公開し、あなたの手札に加えてもよい。そうした場合、あなたのライブラリーを切り直す。
2/2
これ、出来ます。
誘発型能力の効果のなかには、行動をするかしないかを選択できる(中略)ものがある。コントローラーがその能力の選択をする意図があるかどうかに関係なく、その能力は誘発したときにスタックに積まれる。選択は能力の解決時に行なう。(CR603.5)
・"~してもよい"って書いてある誘発型能力は、誘発はするんだけど、本当にそうするかどうかは解決のときに決めるんだよ。
《国境地帯のレインジャー》の能力は、「加えてもよい」と書いてあるので、行動するかしないか選べる誘発型能力です。
こういった能力は、プレイヤーがその行動をする気があるかないかにかかわらず、常に誘発はします。実際にそうするかどうかを決めるのは、その能力の解決時です。
なので、土地を探すかどうかは解決時に決めるのであって、探さないことも出来る…ということ。
◎ 「ライブラリーが200枚以上ある状態で《機知の戦い》が誘発した後、解決前にライブラリーが削られて200枚未満になりました。これ、能力を解決したら勝てる?」
Battle of Wits / 機知の戦い (3)(青)(青)
エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーに200枚以上のカードがある場合、あなたはこのゲームに勝利する。
これ、勝てません。
誘発イベントのすぐ後に記される条件付きの誘発型能力(中略)は、誘発条件の一部として条件が真かどうかをチェックする。条件が真でないなら、能力は誘発しない。また、解決時にも再び条件をチェックし、条件が真でなくなっていた場合、能力は何もしない。(中略)このルールは「"if"節のルール」と呼ばれる。(CR603.4)
・とある書き方で条件が書かれた誘発型能力は、その条件が満たされてないと誘発しないんだよ。それに、解決するときにも条件が満たされてないと、何も起こらないの。
「誘発イベント、条件(~場合)、効果」という書き方の誘発型能力は、"if"節のルールと呼ばれるルールに従います。
《機知の戦い》の能力も、「あなたのアップキープの開始時に(誘発イベント)、あなたのライブラリーに200枚以上のカードがある場合(条件)、あなたはこのゲームに勝利する。(効果)」と書かれているので、"if"節のルールに従います。
"if"節のルール
(1)誘発イベントが起きても、条件が満たされていなければ、誘発しない。
(2)能力が誘発しても、解決するときに条件が満たされていなければ、何も起こらない。
これを《機知の戦い》に当てはめると、こうなります。
(1)あなたのアップキープの開始時になっても、あなたのライブラリーが200枚以上なければ、誘発しない。
(2)能力が誘発しても、解決するときにあなたのライブラリーが200枚以上なければ、何も起こらない。
つまり、今回は能力の解決時にライブラリーが200枚未満なので、解決しても何も起こらない…ということ。
◎ 「《秘密を盗む者》が攻撃しましたが、ダメージを与える前に《濃霧》が撃たれました。これ、カード引ける?」
Stealer of Secrets / 秘密を盗む者 (2)(青)
クリーチャー ― 人間(Human) ならず者(Rogue)
秘密を盗む者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、カードを1枚引く。
2/2
Fog / 濃霧 (緑)
インスタント
このターンに与えられるすべての戦闘ダメージを軽減する。
これ、引けません。
能力は、その誘発イベントが実際に発生したときにのみ誘発する。軽減されたり置換されたりしたイベントによって誘発することはない。(CR603.2f)
・能力が誘発するはずのことが、違うことになったり軽減されたりしたら、その能力は誘発しないよ。
戦闘ダメージを与える、というイベントは《濃霧》によって軽減されています。そして、軽減されたイベントによっては、能力は誘発しません。
よって、《秘密を盗む者》の能力は誘発しないので、カードは引けない…ということ。
◎ 「《霊異種》の1番目の能力を、終了ステップ中に起動しました。これ、いつ帰ってくる?」
AEtherling / 霊異種 (4)(青)(青)
クリーチャー ― 多相の戦士(Shapeshifter)
(青):霊異種を追放する。次の終了ステップの開始時に、これをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
(青):このターン、霊異種はブロックされない。
(1):霊異種はターン終了時まで+1/-1の修整を受ける。
(1):霊異種はターン終了時まで-1/+1の修整を受ける。
4/5
これ、次のターンの終了ステップの開始時に帰ってきます。
《霊異種》の1番目の能力は、次の終了ステップの開始時に誘発する誘発型能力を作ります。
(このように、出来た瞬間に誘発するのではなく、後のあるタイミングで遅れて誘発するものを遅延誘発型能力と言います。)
《霊異種》を戦場に戻す能力が誘発するのは、それが作られた瞬間…つまり《霊異種》の1番目の能力が解決された瞬間から見て、次の終了ステップの開始時です。
今回の場合、今は終了ステップの途中です。この終了ステップの開始時は既に通り過ぎているので、《霊異種》がこのターン中に戦場に戻ることはありません。
よって、《霊異種》が帰ってくるのは、次のターンの終了ステップの開始時…ということ。
◎ 「《テューンの大天使》と《吸血鬼の夜鷲》で対戦相手に戦闘ダメージを与えました。これ、《テューンの大天使》の能力は何回誘発する?」
Archangel of Thune / テューンの大天使 (3)(白)(白)
クリーチャー ― 天使(Angel)
飛行
絆魂(このクリーチャーがダメージを与える場合、さらにあなたは同じ点数のライフを得る。)
あなたがライフを得るたび、あなたがコントロールする各クリーチャーの上に+1/+1カウンターを1個置く。
3/4
これ、2回誘発します。
能力は、その誘発イベントが発生するたびに一度だけ誘発する。しかし、そのイベントが複数の出来事を含んでいる場合、複数回誘発することもある。(CR603.2c)
・誘発型能力はイベント1回で1度だけ誘発するよ。でも、イベントによっては何回か誘発するかもしれないんだ。
《テューンの大天使》と《吸血鬼の夜鷲》は、それぞれが絆魂によってライフを回復させます。
つまり、ここでは「《テューンの大天使》がダメージを与えてライフを得る」と「《吸血鬼の夜鷲》がダメージを与えてライフを得る」という2つのイベントによってライフが回復しています。
なので、《テューンの大天使》の能力は2回誘発する…ということ。
◎ 「クリーチャーを追放している《悪鬼の狩人》に《雲隠れ》を撃ちました。これ、誘発型能力はどういう順番になる?」
Fiend Hunter / 悪鬼の狩人 (1)(白)(白)
クリーチャー ― 人間(Human) クレリック(Cleric)
悪鬼の狩人が戦場に出たとき、他のクリーチャー1体を対象とする。あなたはそれを追放してもよい。
悪鬼の狩人が戦場を離れたとき、その追放されたカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
1/3
Cloudshift / 雲隠れ (白)
インスタント
あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それを追放し、その後そのカードをあなたのコントロール下で戦場に戻す。
これ、好きな順番でスタックに積めます。
能力が誘発すると、次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時点で、そのコントローラーはそれをスタックに置く。(CR603.3)
プレイヤーが最後に優先権を得たときよりも後で複数の能力が誘発した場合、APNAP順で、プレイヤーは自分のコントロールする能力を自分の選んだ順序でスタックに積む。(CR603.3b)
・誘発した能力をスタックに積むのは、次に誰かが優先権を得るときだよ。
・一気にいくつかの能力が誘発したら、APNAP順(※)で、自分のを好きな順番で積めるの。
(※APNAP順…ターン中のプレイヤーから時計回り)
能力が誘発したとき、それは次に誰かが優先権を得るときにスタックに積まれます。
《雲隠れ》で《悪鬼の狩人》が明滅する場合、ゲームは以下のように進みます。
《雲隠れ》が《悪鬼の狩人》を対象に唱えられ、プレイヤー全員が優先権をパスする。
↓
《雲隠れ》が解決されて《悪鬼の狩人》が明滅する。
(戦場を離れたときの能力と、戦場に出たときの能力が誘発する。)
↓
《雲隠れ》の解決が終わった直後、プレイヤーが優先権を得る時点で、先ほど誘発した《悪鬼の狩人》の2つの能力をスタックに積む。
《雲隠れ》の解決中、《悪鬼の狩人》は戦場を離れてからもう1度戦場に出ます。
ですが、誘発した能力が実際にスタックに置かれるのは、誰かが優先権を得る時点です。
プレイヤーが優先権を得るのは《雲隠れ》の解決が終わった後、つまり両方の能力が誘発した後なので、2つの能力は同時にスタックに積まれることになるのです。
そして、いくつかの能力が同時にスタックに積まれるときは、APNAP順で1人ずつ、自分のコントロールする能力を好きな順番で置くことが出来ます。
今回の場合、《悪鬼の狩人》の2つの能力のコントローラーは同じなので、どちらを先に積んでも構わない…ということ。
おまけ
《悪鬼の狩人》を《雲隠れ》で明滅させると、戦場を離れたときの能力と戦場に出たときの能力は好きな順番でスタックに積めます。
ただし、もともと悪鬼の狩人で追放していたクリーチャー(Xとします)は、新たに追放しなおすことが出来ません。
新たにクリーチャーを追放する能力がスタックに乗る時点では、Xを戦場に戻す能力も解決されていないので、Xはまだ追放領域にいます。つまり、Xは新たにクリーチャーを追放する能力の対象にすることが出来ないのです。
◎ 「《情け知らずのガラク》の忠誠カウンターが2個になりましたが、変身する能力が《もみ消し》により打ち消されました。これ、どうなる?」
Garruk Relentless / 情け知らずのガラク (3)(緑)
プレインズウォーカー ― ガラク(Garruk)
情け知らずのガラクの上の忠誠(loyalty)カウンターが2個以下であるとき、彼を変身させる。
[0]:クリーチャー1体を対象とする。情け知らずのガラクはそれに3点のダメージを与える。そのクリーチャーは彼に、それのパワーに等しい点数のダメージを与える。
[0]:緑の2/2の狼(Wolf)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
3
Garruk, the Veil-Cursed / ヴェールの呪いのガラク
〔黒/緑〕 プレインズウォーカー ― ガラク(Garruk)
[+1]:接死を持つ黒の1/1の狼(Wolf)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
[-1]:クリーチャーを1体生け贄に捧げる。そうした場合、あなたのライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、それを公開してあなたの手札に加える。そのあと、あなたのライブラリーを切り直す。
[-3]:あなたがコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで+X/+Xの修整を受けるとともにトランプルを得る。Xは、あなたの墓地にあるクリーチャー・カードの枚数である。
Stifle / もみ消し (青)
インスタント
起動型能力1つか誘発型能力1つを対象とし、それを打ち消す。(マナ能力は対象にできない。)
これ、もう1度誘発します。
誘発型能力の中には、イベントの発生したときに誘発するものの他に、(中略)ゲームの状況によって誘発するものがある。それらの能力はゲームの状況がその条件を満たしたら即座に誘発し、次の機会にスタックに積まれる。これらの能力を状況誘発型能力と呼ぶ(中略)。状況誘発型能力は、その能力が解決されるか打ち消されるなどでスタックから取り除かれるまでは再び誘発することはないが、それ以降にその能力を持つオブジェクトがまだその領域に残っていてゲームの状況が誘発条件を満たしていた場合には、その能力は再び誘発する。(CR603.8)
・ゲームの状況で誘発する能力は、1回スタックに乗ったらそこからなくなるまで誘発しないけど、その後でまだ誘発しそうだったらもう1度誘発するの。
誘発型能力の中で、プレイヤーの手札がないときや特定のパーマネントをコントロールしているときなど、ゲームの状況によって誘発する能力を状況誘発型能力と呼びます。
状況誘発型能力は、それが解決したり打ち消されたりした後、それでもまだ誘発条件が満たされていたら再び誘発します。
《情け知らずのガラク》が変身する能力の条件は、「《情け知らずのガラク》に乗っている忠誠カウンターの数が2個以下である」ということです。
今回の場合、1度誘発した後で《もみ消し》によって打ち消され、《情け知らずのガラク》は裏返りませんでしたが、その上にある忠誠カウンターの数は2個のままです。
そのため、まだゲームの状況が誘発条件を満たしているので、変身能力はもう1度誘発する…ということ。
◎ 「プレイヤーAが《鏡割りのキキジキ》で《灰色熊》のコピーを作った後、プレイヤーBが《威圧》でコピー《灰色熊》のコントロールを奪いました。そのまま終了ステップになりましたが、これ、どうなる?」
Kiki-Jiki, Mirror Breaker / 鏡割りのキキジキ (2)(赤)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー ― ゴブリン(Goblin) シャーマン(Shaman)
速攻
(T):あなたがコントロールする、伝説でないクリーチャー1体を対象とする。それのコピーであるトークンを1体戦場に出す。そのトークンは速攻を持つ。次の終了ステップの開始時に、それを生け贄に捧げる。
2/2
Grizzly Bears / 灰色熊 (1)(緑)
クリーチャー ― 熊(Bear)
2/2
Dominate / 威圧 (X)(1)(青)(青)
インスタント
点数で見たマナ・コストがX以下であるクリーチャー1体を対象とし、そのコントロールを得る。(この効果は永続する。)
これ、そのまま戦場に残ります。
起動型あるいは誘発型の能力が遅延誘発型能力を生成した場合、(中略)コントローラーは生成する能力の解決時のコントローラーである。(CR603.7e)
自分のコントロールしていないパーマネントを生贄に捧げることはできない。(CR701.14a)
・起動型能力か誘発型能力が遅延誘発型能力を作ったとき、作られた能力のコントローラーは、作った能力が解決されたときのコントローラーと同じになるよ。
・自分がコントロールしていないものは、生贄に捧げられないんだ。
この場合、《鏡割りのキキジキ》の能力によって、次の終了ステップの開始時にコピー《灰色熊》を生贄に捧げるという遅延誘発型能力が作られています。
《鏡割りのキキジキ》の能力の解決時のコントローラーはAなので、その遅延誘発型能力もAのコントロール下で誘発します。
さて、今回は終了ステップを迎えたとき、コピー《灰色熊》のコントローラーがBになっています。
終了ステップの開始時に、遅延誘発型能力が誘発します。その能力のコントローラーはAなので、Aがコピー《灰色熊》を生贄に捧げようとします。
しかしながら、Aはコピー《灰色熊》をコントロールしていないので、それを生贄に捧げることが出来ません。
結果、終了ステップの開始時に生贄に捧げる能力は、Aがそう出来ないので失敗し、何も起こらない…ということ。
◎ 「蘇生した《地獄火花の精霊》に《雲隠れ》を撃ちました。これ、どうなる?」
Hellspark Elemental / 地獄火花の精霊 (1)(赤)
クリーチャー ― エレメンタル(Elemental)
トランプル、速攻
終了ステップの開始時に、地獄火花の精霊を生け贄に捧げる。
蘇生(1)(赤)((1)(赤):このカードを戦場に戻す。そのクリーチャーは速攻を得る。次の終了ステップの開始時か、それが戦場を離れる場合に、それを追放する。蘇生はソーサリーとしてのみ行う。)
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これ、戦場に帰ってきますし、終了ステップの開始時に追放することもありません(生贄に捧げる能力は誘発します)。
《地獄火花の精霊》の蘇生能力によって、戦場を離れる場合に代わりに追放するという置換効果と、次の終了ステップの開始時に追放するという遅延誘発型能力が作られています。
この状態で、《地獄火花の精霊》に《雲隠れ》を撃ったときにどうなるか? また、次の終了ステップの開始時に何が起こるか?
1つずつ見ていきましょう。
《地獄火花の精霊》に《雲隠れ》を撃ったら?
《地獄火花の精霊》が戦場を離れようとするので、置換効果が適用されます。
ですが、これをよく見ると、「追放する代わりに追放する」という結果になっており、《地獄火花の精霊》を追放することは成功しています。
そしてそのまま《雲隠れ》の解決が続き、《地獄火花の精霊》は戦場に戻ってくる…ということ。
終了ステップが始まると?
《雲隠れ》によって明滅した《地獄火花の精霊》は、もともと蘇生によって戦場に戻った《地獄火花の精霊》とは違う、新しいオブジェクトになっています。
なので、終了ステップの開始時の遅延誘発型能力は誘発しますが、追放するはずだったオブジェクトがもう戦場にないので、何も起こらない…ということ。
ただし、「終了ステップの開始時に、地獄火花の精霊を生け贄に捧げる。 」という能力は通常通り誘発します。
ちなみに、戦場を離れる場合追放するという置換効果の方も、新しいオブジェクトになっているため無くなります。
○ FLの感想
さて、予想通り、とっても長いメモになってしまいました。
途中でタグを間違えたりして、かなりキツかったです…。
誘発型能力は、MtGのルールの中でも基本的な部分。だけど、物凄く種類が多いせいか、物凄く難しいと思います。
誘発型能力について調べていると、他の複雑な(それだけで1つのメモが出来そうな)ルールにもたくさん関わっていくので、しっかり理解しようとするとかなり大変です。
だけど、つまりそれは、誘発型能力について調べていくと、どんどんMtGについて詳しくなれるということ。
頑張ってこれを覚えて、正しくMtGを遊び尽くしたいです。
それではFLでした。
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