今日のFLのメモは「《安らかなる眠り》について」でございます。
Rest in Peace / 安らかなる眠り (1)(白)
エンチャント
安らかなる眠りが戦場に出たとき、すべての墓地にあるすべてのカードを追放する。
いずれかのカードかトークンが、いずれかの領域からいずれかの墓地に置かれる場合、代わりにそれを追放する。

ラヴニカへの回帰に収録されているレアのエンチャント。これが出た時、墓地のカードを全て追放し、それ以降に墓地に置かれようとするカードも全て代わりに追放します。
墓地対策カードとしては、これでもか!って感じですね。ゾンビやリアニメイトといった墓地を使うデッキがあるスタンダード、《死儀礼のシャーマン》《タルモゴイフ》が強いモダン、コンボパーツとしても活躍できるレガシー…と、たくさんのフォーマットでよく名前を聞くカードです。

○ 《安らかなる眠り》のまわりで起こる色々

今回はこのカードに注目して、FLがメモしておきたいと思ったことを書いていきます。

◎ 「《安らかなる眠り》に《帰化》を撃ちました。これ、《安らかなる眠り》と《帰化》はどこに置かれる?」
Naturalize / 帰化 (1)(緑)
インスタント
アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。

これ、《安らかなる眠り》は追放され、《帰化》は墓地に置かれます。
何でか書いていきますが、ちょっと長くなるので、1つずつ見ていきましょう。

そもそも、「墓地に置く代わりにそれを追放する」ってのは、どういうものぞや?

「代わりに/instead」という語を用いる効果は置換効果である。(CR614.1a)
置換効果はイベントが発生する際に継続的に適用される。事前に固定されるわけではない。この種の効果は発生しうる特定のイベントを待ち、その効果の全部あるいは一部を他のイベントで置換する。(CR614.1)

・「代わりに」って書いてあるのは置換効果って言うんだ。
・置換効果は、「こういうイベントがあったら、それをああいうイベントに変えちゃうぜ!」というものさ。

こんな感じでしょうか。
《安らかなる眠り》の後半にも、「代わりに」って書いてありますね。なので、これはルール的には置換効果と呼ばれるものの一種…ということ。
(「代わりに」という言葉を使っていない置換効果もあるんですが、それはまた別の話。)

《帰化》を解決するとき、この置換効果はどうはたらくの?

ルール文書の、「呪文や能力の解決」について書いてあるところに、こんな文章がありました。

呪文や能力のコントローラーは、書かれた順序で指示に従う。但し、置換効果によってこれらの行動が変更され、以前の指示の意味が変わることもある。(CR608.2c)

・呪文や能力を解決していくとき、その手順のうちcでは、その呪文に書いてあることを上からやっていく。置換効果はこのときに適用するのさ。(これは手順c、ということを覚えておいてくれるかな。あとで使うんだ。)

《帰化》が《安らかなる眠り》を壊そうとするとき、そうする前に《安らかなる眠り》の置換効果が適用されます。「《安らかなる眠り》を破壊する」ということが、「《安らかなる眠り》を破壊する。それを墓地に置く代わりに追放する」といった感じに読み替えられてから、実際にそうする訳です。
つまり、《安らかなる眠り》が《帰化》で壊される場合、《安らかなる眠り》そのものは自身の置換効果によって追放される…ということ。

じゃあ、《帰化》はどうなるんだ?

インスタント 呪文やソーサリー 呪文の解決の最終段階として、その呪文はスタックからオーナーの墓地に置かれる。(CR608.2k)
解決されるオブジェクトがインスタント 呪文やソーサリー 呪文や能力である場合、その解決はいくつかの手順に分かれる。rule 608.2a と rule 608.2b で記された手順を先に踏み、その後で rule 608.2c から rule 608.2j で記された手順を適切な順で行なう。その後、最後にrule 608.2k に記された手順を行なう。(CR608.2)

・kの手順(一番最後さ)で、その呪文がスタックから墓地に置かれるんだ。
・インスタントやソーサリーを解決するときの手順は、「最初にaとb → c~jを適切な順番で → 最後にk」さ。(ホントは、aは何たらbは何たら、とか全部説明するんだけど、ややこしいからここでは省くよ。アルファベットの順番だけ覚えておいてくれるかな?)

呪文を解決する、と一口に言っても、実は凄く細かい手順がたくさん踏まれています。
全部見ていくと、それだけで記事が1つ出来ちゃうっぽいので、必要なところだけつまみ食いしましょう。

《帰化》を解決するとき、《帰化》自体が墓地に置かれようとするのは、手順k。
「呪文がスタックから墓地に置かれる」という手順kは、インスタントやソーサリーを解決する手順の中で、必ず一番最後にきます。どんなにややこしいステップを踏まなきゃならないとしても、これは必ずしんがりなんです。
一方、さっき見た「置換効果を適用する」ってことは、手順cです。

「最初にaとb → c~jを適切な順番で → 最後にk」

・手順c…《安らかなる眠り》が破壊される。《安らかなる眠り》は墓地に置かれる代わりに追放される。
・手順k…《帰化》が墓地に置かれる。

こうして見ると、《帰化》は《安らかなる眠り》を壊した(そしてそれが追放された)あとで墓地に置かれることが分かります。
つまり、《帰化》が墓地に置かれようとするとき、《安らかなる眠り》はもう戦場にはありません。という訳で、《帰化》は普通に墓地に置かれる…ということ。

おまけ

《ドライアドの闘士》を《殺害》で壊したら、《殺害》は墓地に置かれます。
Dryad Militant / ドライアドの闘士 (緑/白)
クリーチャー ― ドライアド(Dryad) 兵士(Soldier)
インスタント・カード1枚かソーサリー・カード1枚がいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれる場合、代わりにそれを追放する。
2/1
Murder / 殺害 (1)(黒)(黒)
インスタント
クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。

さっきの話と同じく、手順cで《ドライアドの闘士》が破壊され、それから手順kで《殺害》が墓地に置かれるからです。

ところが、《ドライアドの闘士》に《灼熱の槍》を撃ったときは、《灼熱の槍》は追放されます。
Searing Spear / 灼熱の槍 (1)(赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。灼熱の槍はそれに3点のダメージを与える。

この場合、さっきの話の手順cでは、《ドライアドの闘士》が3点のダメージを受けます。だけど、この時点で《ドライアドの闘士》は3点のダメージを受けただけで、まだ戦場にいます。「致死ダメージを受けたから破壊される」というのは、呪文の解決が全て終わってから起こることなんです。
その後、手順kで《灼熱の槍》が墓地に置かれようとします。そのとき《ドライアドの闘士》の置換効果が適用されて、《灼熱の槍》は追放されます。
これで《灼熱の槍》の解決が終わりました。そうして初めて、「《ドライアドの闘士》は致死ダメージを受けたから破壊される」というイベントが起きます。こうして、《ドライアドの闘士》は戦場を離れるのです。(これは「状況起因処理」と呼ばれるものの1つです。詳しく書こうとすると、1記事どころか2記事にも3記事にもなりそうなので、それはまた別の話ということで。)

◎ 「《安らかなる眠り》があるとき、《怨恨》が破壊されました。これ、手札に戻る?」
Rancor / 怨恨 (緑)
エンチャント ― オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+0の修整を受けるとともにトランプルを持つ。
怨恨が戦場から墓地に置かれたとき、怨恨をオーナーの手札に戻す。

これ、戻りません。

イベントが置換された場合、それは決して起こったことにならない。(CR614.6)

《安らかなる眠り》は、「墓地に置かれる」というイベントを「追放される」というイベントに置換します。
今回の場合、「《怨恨》が墓地に置かれる」というイベントが、「《怨恨》が追放される」に置き換えられます。「《怨恨》が墓地に置かれる」というイベントは、決して起こったことになりません。つまり、「墓地に置かれたとき」の能力は誘発しない…ということ。

◎ 「じゃあ、《安らかなる眠り》があるときにクリーチャーが破壊されました。手札に《悲劇的な過ち》があるんだけど、これ、陰鬱状態?」
Tragic Slip / 悲劇的な過ち (黒)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで-1/-1の修整を受ける。
陰鬱 ― このターン、いずれかのクリーチャーが死亡していた場合、代わりにそのクリーチャーはターン終了時まで-13/-13の修整を受ける。

これ、陰鬱してません。

「死亡する/Die」という語は「~が戦場から墓地に置かれる」ことを意味する。(CR700.6)

「死亡する」というのは、「戦場から墓地に置かれる」ということ。だから、考え方はさっきの《怨恨》とまったく同じです。
《安らかなる眠り》があるときにクリーチャーが破壊されると、「墓地に置かれる」代わりに「追放される」ことになります。「クリーチャーが死亡する」というイベントは決して起こったことにならないので、陰鬱の条件は絶対達成されない…ということ。

《安らかなる眠り》があると「何かが墓地に置かれる」というイベントが起こらない、ということは、《怨恨》や陰鬱以外にも色々なことに影響します。
スタンダードだと、《ゲラルフの伝書使》などの不死が誘発しないとか。もっと広いフォーマットだと、《電結の荒廃者》などの接合が誘発しないとか。

○ FLの感想

《安らかなる眠り》が《帰化》で壊されたら?というところ、こんなに文章が長くなってしまうとは思いませんでした…。
書き終わった今考えると、FLも理解するのにめちゃくちゃ時間がかかったので、説明が長くなっても仕方ないのかもしれませんけど。
それに比べて、《怨恨》や陰鬱のところはちょっと短いですが、これも凄く大事だと思っています。
FLの周りでも、《悲劇的な過ち》を陰鬱してると間違って撃っちゃった人が何人か居ます。FL自身もその1人です。

《安らかなる眠り》、難しい。でも、これを覚えて、正しくMtGを遊び尽くしたいです。

それではFLでした。

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