今日のFLのメモは「誘発型能力について」でございます。

MtGのカードは、大抵何かしらの能力を持っています。
その中で誘発型能力と言えば、決まったタイミングや何かが起こったときに発生する効果のこと。

ひとくちに誘発型能力と言っても、その種類は数え切れないくらいあります。
今のスタンダード(イニストラード・ブロック&ラヴニカへの回帰ブロック)だけでも、賛美や不死、進化、あるいは《復活の声》の能力などがよく知られています。
Voice of Resurgence / 復活の声 (緑)(白)
クリーチャー ― エレメンタル(Elemental)
対戦相手1人があなたのターンに呪文を1つ唱えるたび、または復活の声が死亡したとき、「このクリーチャーのパワーとタフネスは、あなたがコントロールするクリーチャーの総数に等しい。」を持つ緑であり白であるエレメンタル(Elemental)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
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…と、ちょっと説明してみましたけど、MtGプレイヤーならみんなお馴染みですよね。

○ 誘発型能力のまわりで起こる色々

数え切れないくらいある誘発型能力の中には、難しいものもたくさんあります。
また、1つ1つは簡単でも、いくつかが絡まりあうと難しい…ってこともあります。
今回はこの誘発型能力について、FLがメモしておきたいと思ったことを書いていきます。長いメモになりそうです。

◎ 「《国境地帯のレインジャー》を出しましたが、土地を探したくありません。これ、探さないことは出来る?」
Borderland Ranger / 国境地帯のレインジャー (2)(緑)
クリーチャー — 人間(Human) スカウト(Scout)
国境地帯のレインジャーが戦場に出たとき、あなたはあなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、それを公開し、あなたの手札に加えてもよい。そうした場合、あなたのライブラリーを切り直す。
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これ、出来ます。

誘発型能力の効果のなかには、行動をするかしないかを選択できる(中略)ものがある。コントローラーがその能力の選択をする意図があるかどうかに関係なく、その能力は誘発したときにスタックに積まれる。選択は能力の解決時に行なう。(CR603.5)

・"~してもよい"って書いてある誘発型能力は、誘発はするんだけど、本当にそうするかどうかは解決のときに決めるんだよ。

《国境地帯のレインジャー》の能力は、「加えてもよい」と書いてあるので、行動するかしないか選べる誘発型能力です。
こういった能力は、プレイヤーがその行動をする気があるかないかにかかわらず、常に誘発はします。実際にそうするかどうかを決めるのは、その能力の解決時です。
なので、土地を探すかどうかは解決時に決めるのであって、探さないことも出来る…ということ。

◎ 「ライブラリーが200枚以上ある状態で《機知の戦い》が誘発した後、解決前にライブラリーが削られて200枚未満になりました。これ、能力を解決したら勝てる?」
Battle of Wits / 機知の戦い (3)(青)(青)
エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーに200枚以上のカードがある場合、あなたはこのゲームに勝利する。

これ、勝てません。

誘発イベントのすぐ後に記される条件付きの誘発型能力(中略)は、誘発条件の一部として条件が真かどうかをチェックする。条件が真でないなら、能力は誘発しない。また、解決時にも再び条件をチェックし、条件が真でなくなっていた場合、能力は何もしない。(中略)このルールは「"if"節のルール」と呼ばれる。(CR603.4)

・とある書き方で条件が書かれた誘発型能力は、その条件が満たされてないと誘発しないんだよ。それに、解決するときにも条件が満たされてないと、何も起こらないの。

「誘発イベント、条件(~場合)、効果」という書き方の誘発型能力は、"if"節のルールと呼ばれるルールに従います。
《機知の戦い》の能力も、「あなたのアップキープの開始時に(誘発イベント)、あなたのライブラリーに200枚以上のカードがある場合(条件)、あなたはこのゲームに勝利する。(効果)」と書かれているので、"if"節のルールに従います。

"if"節のルール

(1)誘発イベントが起きても、条件が満たされていなければ、誘発しない。
(2)能力が誘発しても、解決するときに条件が満たされていなければ、何も起こらない。

これを《機知の戦い》に当てはめると、こうなります。

(1)あなたのアップキープの開始時になっても、あなたのライブラリーが200枚以上なければ、誘発しない。
(2)能力が誘発しても、解決するときにあなたのライブラリーが200枚以上なければ、何も起こらない。

つまり、今回は能力の解決時にライブラリーが200枚未満なので、解決しても何も起こらない…ということ。

◎ 「《秘密を盗む者》が攻撃しましたが、ダメージを与える前に《濃霧》が撃たれました。これ、カード引ける?」
Stealer of Secrets / 秘密を盗む者 (2)(青)
クリーチャー ― 人間(Human) ならず者(Rogue)
秘密を盗む者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、カードを1枚引く。
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Fog / 濃霧 (緑)
インスタント
このターンに与えられるすべての戦闘ダメージを軽減する。

これ、引けません。

能力は、その誘発イベントが実際に発生したときにのみ誘発する。軽減されたり置換されたりしたイベントによって誘発することはない。(CR603.2f)

・能力が誘発するはずのことが、違うことになったり軽減されたりしたら、その能力は誘発しないよ。

戦闘ダメージを与える、というイベントは《濃霧》によって軽減されています。そして、軽減されたイベントによっては、能力は誘発しません。
よって、《秘密を盗む者》の能力は誘発しないので、カードは引けない…ということ。

◎ 「《霊異種》の1番目の能力を、終了ステップ中に起動しました。これ、いつ帰ってくる?」
AEtherling / 霊異種 (4)(青)(青)
クリーチャー ― 多相の戦士(Shapeshifter)
(青):霊異種を追放する。次の終了ステップの開始時に、これをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
(青):このターン、霊異種はブロックされない。
(1):霊異種はターン終了時まで+1/-1の修整を受ける。
(1):霊異種はターン終了時まで-1/+1の修整を受ける。
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これ、次のターンの終了ステップの開始時に帰ってきます。

《霊異種》の1番目の能力は、次の終了ステップの開始時に誘発する誘発型能力を作ります。
(このように、出来た瞬間に誘発するのではなく、後のあるタイミングで遅れて誘発するものを遅延誘発型能力と言います。)

《霊異種》を戦場に戻す能力が誘発するのは、それが作られた瞬間…つまり《霊異種》の1番目の能力が解決された瞬間から見て、次の終了ステップの開始時です。
今回の場合、今は終了ステップの途中です。この終了ステップの開始時は既に通り過ぎているので、《霊異種》がこのターン中に戦場に戻ることはありません。

よって、《霊異種》が帰ってくるのは、次のターンの終了ステップの開始時…ということ。

◎ 「《テューンの大天使》と《吸血鬼の夜鷲》で対戦相手に戦闘ダメージを与えました。これ、《テューンの大天使》の能力は何回誘発する?」
Archangel of Thune / テューンの大天使 (3)(白)(白)
クリーチャー ― 天使(Angel)
飛行
絆魂(このクリーチャーがダメージを与える場合、さらにあなたは同じ点数のライフを得る。)
あなたがライフを得るたび、あなたがコントロールする各クリーチャーの上に+1/+1カウンターを1個置く。
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これ、2回誘発します。

能力は、その誘発イベントが発生するたびに一度だけ誘発する。しかし、そのイベントが複数の出来事を含んでいる場合、複数回誘発することもある。(CR603.2c)

・誘発型能力はイベント1回で1度だけ誘発するよ。でも、イベントによっては何回か誘発するかもしれないんだ。

《テューンの大天使》と《吸血鬼の夜鷲》は、それぞれが絆魂によってライフを回復させます。
つまり、ここでは「《テューンの大天使》がダメージを与えてライフを得る」と「《吸血鬼の夜鷲》がダメージを与えてライフを得る」という2つのイベントによってライフが回復しています。
なので、《テューンの大天使》の能力は2回誘発する…ということ。

◎ 「クリーチャーを追放している《悪鬼の狩人》に《雲隠れ》を撃ちました。これ、誘発型能力はどういう順番になる?」
Fiend Hunter / 悪鬼の狩人 (1)(白)(白)
クリーチャー ― 人間(Human) クレリック(Cleric)
悪鬼の狩人が戦場に出たとき、他のクリーチャー1体を対象とする。あなたはそれを追放してもよい。
悪鬼の狩人が戦場を離れたとき、その追放されたカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
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Cloudshift / 雲隠れ (白)
インスタント
あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それを追放し、その後そのカードをあなたのコントロール下で戦場に戻す。

これ、好きな順番でスタックに積めます。

能力が誘発すると、次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時点で、そのコントローラーはそれをスタックに置く。(CR603.3)
プレイヤーが最後に優先権を得たときよりも後で複数の能力が誘発した場合、APNAP順で、プレイヤーは自分のコントロールする能力を自分の選んだ順序でスタックに積む。(CR603.3b)

・誘発した能力をスタックに積むのは、次に誰かが優先権を得るときだよ。
・一気にいくつかの能力が誘発したら、APNAP順(※)で、自分のを好きな順番で積めるの。
(※APNAP順…ターン中のプレイヤーから時計回り)

能力が誘発したとき、それは次に誰かが優先権を得るときにスタックに積まれます。
《雲隠れ》で《悪鬼の狩人》が明滅する場合、ゲームは以下のように進みます。

《雲隠れ》が《悪鬼の狩人》を対象に唱えられ、プレイヤー全員が優先権をパスする。
   ↓
《雲隠れ》が解決されて《悪鬼の狩人》が明滅する。
(戦場を離れたときの能力と、戦場に出たときの能力が誘発する。)
   ↓
《雲隠れ》の解決が終わった直後、プレイヤーが優先権を得る時点で、先ほど誘発した《悪鬼の狩人》の2つの能力をスタックに積む。

《雲隠れ》の解決中、《悪鬼の狩人》は戦場を離れてからもう1度戦場に出ます。
ですが、誘発した能力が実際にスタックに置かれるのは、誰かが優先権を得る時点です。
プレイヤーが優先権を得るのは《雲隠れ》の解決が終わった後、つまり両方の能力が誘発した後なので、2つの能力は同時にスタックに積まれることになるのです。

そして、いくつかの能力が同時にスタックに積まれるときは、APNAP順で1人ずつ、自分のコントロールする能力を好きな順番で置くことが出来ます。
今回の場合、《悪鬼の狩人》の2つの能力のコントローラーは同じなので、どちらを先に積んでも構わない…ということ。

おまけ

《悪鬼の狩人》を《雲隠れ》で明滅させると、戦場を離れたときの能力と戦場に出たときの能力は好きな順番でスタックに積めます。
ただし、もともと悪鬼の狩人で追放していたクリーチャー(Xとします)は、新たに追放しなおすことが出来ません。
新たにクリーチャーを追放する能力がスタックに乗る時点では、Xを戦場に戻す能力も解決されていないので、Xはまだ追放領域にいます。つまり、Xは新たにクリーチャーを追放する能力の対象にすることが出来ないのです。

◎ 「《情け知らずのガラク》の忠誠カウンターが2個になりましたが、変身する能力が《もみ消し》により打ち消されました。これ、どうなる?」
Garruk Relentless / 情け知らずのガラク (3)(緑)
プレインズウォーカー ― ガラク(Garruk)
情け知らずのガラクの上の忠誠(loyalty)カウンターが2個以下であるとき、彼を変身させる。
[0]:クリーチャー1体を対象とする。情け知らずのガラクはそれに3点のダメージを与える。そのクリーチャーは彼に、それのパワーに等しい点数のダメージを与える。
[0]:緑の2/2の狼(Wolf)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
3
Garruk, the Veil-Cursed / ヴェールの呪いのガラク
〔黒/緑〕 プレインズウォーカー ― ガラク(Garruk)
[+1]:接死を持つ黒の1/1の狼(Wolf)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
[-1]:クリーチャーを1体生け贄に捧げる。そうした場合、あなたのライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、それを公開してあなたの手札に加える。そのあと、あなたのライブラリーを切り直す。
[-3]:あなたがコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで+X/+Xの修整を受けるとともにトランプルを得る。Xは、あなたの墓地にあるクリーチャー・カードの枚数である。
Stifle / もみ消し (青)
インスタント
起動型能力1つか誘発型能力1つを対象とし、それを打ち消す。(マナ能力は対象にできない。)

これ、もう1度誘発します。

誘発型能力の中には、イベントの発生したときに誘発するものの他に、(中略)ゲームの状況によって誘発するものがある。それらの能力はゲームの状況がその条件を満たしたら即座に誘発し、次の機会にスタックに積まれる。これらの能力を状況誘発型能力と呼ぶ(中略)。状況誘発型能力は、その能力が解決されるか打ち消されるなどでスタックから取り除かれるまでは再び誘発することはないが、それ以降にその能力を持つオブジェクトがまだその領域に残っていてゲームの状況が誘発条件を満たしていた場合には、その能力は再び誘発する。(CR603.8)

・ゲームの状況で誘発する能力は、1回スタックに乗ったらそこからなくなるまで誘発しないけど、その後でまだ誘発しそうだったらもう1度誘発するの。

誘発型能力の中で、プレイヤーの手札がないときや特定のパーマネントをコントロールしているときなど、ゲームの状況によって誘発する能力を状況誘発型能力と呼びます。
状況誘発型能力は、それが解決したり打ち消されたりした後、それでもまだ誘発条件が満たされていたら再び誘発します。

《情け知らずのガラク》が変身する能力の条件は、「《情け知らずのガラク》に乗っている忠誠カウンターの数が2個以下である」ということです。
今回の場合、1度誘発した後で《もみ消し》によって打ち消され、《情け知らずのガラク》は裏返りませんでしたが、その上にある忠誠カウンターの数は2個のままです。
そのため、まだゲームの状況が誘発条件を満たしているので、変身能力はもう1度誘発する…ということ。

◎ 「プレイヤーAが《鏡割りのキキジキ》で《灰色熊》のコピーを作った後、プレイヤーBが《威圧》でコピー《灰色熊》のコントロールを奪いました。そのまま終了ステップになりましたが、これ、どうなる?」
Kiki-Jiki, Mirror Breaker / 鏡割りのキキジキ (2)(赤)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー ― ゴブリン(Goblin) シャーマン(Shaman)
速攻
(T):あなたがコントロールする、伝説でないクリーチャー1体を対象とする。それのコピーであるトークンを1体戦場に出す。そのトークンは速攻を持つ。次の終了ステップの開始時に、それを生け贄に捧げる。
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Grizzly Bears / 灰色熊 (1)(緑)
クリーチャー ― 熊(Bear)
2/2
Dominate / 威圧 (X)(1)(青)(青)
インスタント
点数で見たマナ・コストがX以下であるクリーチャー1体を対象とし、そのコントロールを得る。(この効果は永続する。)

これ、そのまま戦場に残ります。

起動型あるいは誘発型の能力が遅延誘発型能力を生成した場合、(中略)コントローラーは生成する能力の解決時のコントローラーである。(CR603.7e)
自分のコントロールしていないパーマネントを生贄に捧げることはできない。(CR701.14a)

・起動型能力か誘発型能力が遅延誘発型能力を作ったとき、作られた能力のコントローラーは、作った能力が解決されたときのコントローラーと同じになるよ。
・自分がコントロールしていないものは、生贄に捧げられないんだ。

この場合、《鏡割りのキキジキ》の能力によって、次の終了ステップの開始時にコピー《灰色熊》を生贄に捧げるという遅延誘発型能力が作られています。
《鏡割りのキキジキ》の能力の解決時のコントローラーはAなので、その遅延誘発型能力もAのコントロール下で誘発します。

さて、今回は終了ステップを迎えたとき、コピー《灰色熊》のコントローラーがBになっています。
終了ステップの開始時に、遅延誘発型能力が誘発します。その能力のコントローラーはAなので、Aがコピー《灰色熊》を生贄に捧げようとします。
しかしながら、Aはコピー《灰色熊》をコントロールしていないので、それを生贄に捧げることが出来ません。

結果、終了ステップの開始時に生贄に捧げる能力は、Aがそう出来ないので失敗し、何も起こらない…ということ。

◎ 「蘇生した《地獄火花の精霊》に《雲隠れ》を撃ちました。これ、どうなる?」
Hellspark Elemental / 地獄火花の精霊 (1)(赤)
クリーチャー ― エレメンタル(Elemental)
トランプル、速攻
終了ステップの開始時に、地獄火花の精霊を生け贄に捧げる。
蘇生(1)(赤)((1)(赤):このカードを戦場に戻す。そのクリーチャーは速攻を得る。次の終了ステップの開始時か、それが戦場を離れる場合に、それを追放する。蘇生はソーサリーとしてのみ行う。)
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これ、戦場に帰ってきますし、終了ステップの開始時に追放することもありません(生贄に捧げる能力は誘発します)。

《地獄火花の精霊》の蘇生能力によって、戦場を離れる場合に代わりに追放するという置換効果と、次の終了ステップの開始時に追放するという遅延誘発型能力が作られています。
この状態で、《地獄火花の精霊》に《雲隠れ》を撃ったときにどうなるか? また、次の終了ステップの開始時に何が起こるか?
1つずつ見ていきましょう。

《地獄火花の精霊》に《雲隠れ》を撃ったら?

《地獄火花の精霊》が戦場を離れようとするので、置換効果が適用されます。
ですが、これをよく見ると、「追放する代わりに追放する」という結果になっており、《地獄火花の精霊》を追放することは成功しています。
そしてそのまま《雲隠れ》の解決が続き、《地獄火花の精霊》は戦場に戻ってくる…ということ。

終了ステップが始まると?

《雲隠れ》によって明滅した《地獄火花の精霊》は、もともと蘇生によって戦場に戻った《地獄火花の精霊》とは違う、新しいオブジェクトになっています。
なので、終了ステップの開始時の遅延誘発型能力は誘発しますが、追放するはずだったオブジェクトがもう戦場にないので、何も起こらない…ということ。
ただし、「終了ステップの開始時に、地獄火花の精霊を生け贄に捧げる。 」という能力は通常通り誘発します。

ちなみに、戦場を離れる場合追放するという置換効果の方も、新しいオブジェクトになっているため無くなります。

○ FLの感想

さて、予想通り、とっても長いメモになってしまいました。
途中でタグを間違えたりして、かなりキツかったです…。

誘発型能力は、MtGのルールの中でも基本的な部分。だけど、物凄く種類が多いせいか、物凄く難しいと思います。
誘発型能力について調べていると、他の複雑な(それだけで1つのメモが出来そうな)ルールにもたくさん関わっていくので、しっかり理解しようとするとかなり大変です。
だけど、つまりそれは、誘発型能力について調べていくと、どんどんMtGについて詳しくなれるということ。
頑張ってこれを覚えて、正しくMtGを遊び尽くしたいです。

それではFLでした。
今日のFLのメモは「両面カードについて」でございます。

○両面カードって?

普通MtGのカードと言えば、表にカードの特性、裏にはデザインが印刷されています。
ところが、イニストラードと闇の隆盛には、両面に特性が印刷されているカードがあります。これらは両面カードと呼ばれています。
Reckless Waif / 無謀な浮浪者 (赤)
クリーチャー ― 人間(Human) ならず者(Rogue) 狼男(Werewolf)
各アップキープの開始時に、直前のターンに呪文が唱えられていなかった場合、無謀な浮浪者を変身させる。
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Merciless Predator / 無慈悲な捕食者
〔赤〕 クリーチャー ― 狼男(Werewolf)
各アップキープの開始時に、直前のターンにプレイヤー1人が2つ以上の呪文を唱えていた場合、無慈悲な捕食者を変身させる。
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両面カードとは、カードの一方にマジックのカードの表面、もう一方にマジックのカードの裏面があるのではなく、両方にマジックのカードの表面があるカードである。各面は、そのパーマネントを「変身させる」、あるいは一方からもう一方の面に変える能力を持つことがある。。(CR711.1)
パーマネントを変身させる場合、それを裏返し、もう一方の面が見えるようにする。(CR701.25b)

・2つの表面を持つのが両面カードさ。
・両面カードは変身することがある。くるっと別の面になるんだ。

両面カードの特徴は、変身すること。昼の面と夜の面を持っていて、ある条件を満たすといきなり様変わりします。
どれくらい変わるかと言うと、昼夜でカードタイプが違うことすらあるくらいです。クリーチャーがエンチャントになったり、アーティファクトがクリーチャーになったり。

今回はこの、2つの顔を持つ両面カードについてメモしていきます。

○ 両面カードのまわりで起こる色々

◎ 「《コジレックの審問》で相手の手札を見たら、《苛まれし最下層民》がありました。これ、落とせる?」
Inquisition of Kozilek / コジレックの審問 (黒)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を公開する。あなたはその中から点数で見たマナ・コストが3以下の土地でないカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。
Tormented Pariah / 苛まれし最下層民 (3)(赤)
クリーチャー ― 人間(Human) 戦士(Warrior) 狼男(Werewolf)
各アップキープの開始時に、直前のターンに呪文が唱えられていなかった場合、苛まれし最下層民を変身させる。
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Rampaging Werewolf / 猛り狂う狼男
〔赤〕 クリーチャー ― 狼男(Werewolf)
各アップキープの開始時に、直前のターンにプレイヤー1人が2つ以上の呪文を唱えていた場合、猛り狂う狼男を変身させる。
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これ、落とせません。

戦場以外のあらゆる領域において、および戦場において昼の面が表になっている場合において、両面カードは昼の面の特性のみを持つ。(CR711.2a)

・戦場で昼の面だったり、戦場以外にあったりな両面カードは、昼の面を見るのさ。

両面カードは、戦場以外の領域にあるとき、昼の面の情報だけが参照されます。
今回の場合、《苛まれし最下層民》は手札にあるので、点数で見たマナ・コストをチェックするときは《苛まれし最下層民》の「4マナ」だけを見ます。
夜の面である《猛り狂う狼男》の点数で見たマナ・コストは0ですが、このときには関係ありません。

つまり、《苛まれし最下層民》は4マナなので、《コジレックの審問》では落とせない…ということ。

◎ 「《クローン》が《無謀な浮浪者》のコピーになりました。これ、変身できる?」
Clone / クローン (3)(青)
クリーチャー ― 多相の戦士(Shapeshifter)
あなたは、クローンが戦場に出ているクリーチャー1体のコピーとして戦場に出ることを選んでもよい。
0/0

これ、変身できません。

両面カードの各面はそれぞれに独立した一連の特性を持つ。(CR711.2)
オブジェクトの「コピー可能な値」とは、オブジェクトに記載されている値(カード名、マナ・コスト、色指標、カード・タイプ、サブタイプ、特殊タイプ、エキスパンション・シンボル、ルール文章、パワー、タフネス、忠誠度)に、他のコピー 効果、特性を定める「戦場に出るに際し/as ... enters the battlefield」「表になるに際し/as ... is turned face up」の能力、そのオブジェクトを裏向きにする能力による影響を加味したものである。それ以外の(タイプや文章を変更するようなものも含む)効果、位相、カウンターはコピーされない。(CR706.2)
トークンや、マジックの裏面を持つカードは変身させられない。(CR711.1)

・両面カードは、昼の面と夜の面とで別々の特性を持つんだ。
・何かをコピーするとき、カード名とかここに書いてある諸々のことがコピーされる。それ以外のことはコピーされないのさ。
・トークンとか裏面のあるカードは、変身できないよ。

両面カードは、各面で別々の特性を持っています。昼の面ではこういうもの、夜の面では別のこういうもの。
両面カードをコピーする場合、現在の面の特性だけがコピーされます。別の面の特性や、両面カードであるという事実自体はコピーされません。

つまり、《クローン》が《無謀な浮浪者》のコピーになるとき、それは《無謀な浮浪者》の特性だけをコピーします。夜の面である《無慈悲な捕食者》の特性や、「このオブジェクトが両面カードである」ということ自体はコピーされません。
よって、《クローン》は両面カードではないので、《無謀な浮浪者》のコピーになっても変身することが出来ない…ということ。

◎ 「《無謀な浮浪者》が戦場にある状態で《イクシドロン》が戦場に出ようとしています。これ、《無謀な浮浪者》はどうなる?」
Ixidron / イクシドロン (3)(青)(青)
クリーチャー ― イリュージョン(Illusion)
イクシドロンが戦場に出るに際し、他のトークンでないすべてのクリーチャーを裏向きにする。(それらは2/2のクリーチャーである。)
イクシドロンのパワーとタフネスはそれぞれ、戦場に出ている裏向きのクリーチャーの数に等しい。
*/*

これ、裏返れません。

パーマネントの位相とは、物理的な状態のことである。位相には4つの種類があり、それぞれ2種類のいずれかの状態を取る。すなわち、タップ/アンタップ、反転/非反転、表向き/裏向き、フェイズ・イン/フェイズ・アウトである。パーマネントは、4組の位相それぞれについて必ずどちらかの状態である。(CR110.6)
両面パーマネントは、つねに「表向き」(中略)の位相を持つ。両面パーマネントは裏向きにできない。呪文や能力により両面パーマネントが裏向きになろうとする場合、何も起こらない。(CR711.6)

・位相というのは、カードの物理的な状態のことさ。カードの表向き/裏向きも位相の1種で、パーマネントは常に表裏どちらかの状態だよ。
・両面カードのパーマネントは、常に表向きさ。2つの表面を持っていて、裏面は持たないからね。もちろん裏向きになることはできないのさ。

パーマネントが表向きか裏向きか、という状態は、パーマネントの位相と呼ばれるものの1つです。
クリーチャーを裏向きにする、というのは、そのクリーチャーを裏向きの位相にするということです。

そして、両面カードは裏向きの位相になることが出来ません。
何故かというと、両面カードは2つの表面を持っていて、裏面を持たないからです。昼の面と夜の面、どちらの面で戦場に居ても、位相は常に表向きなんです。
もし何かが両面カードを裏向きの位相にしようとした場合、それは失敗します。

つまり、《イクシドロン》は《無謀な浮浪者》を裏向きにしようとするけど、《無謀な浮浪者》には裏面が無いので失敗する…ということ。

おまけ

両面カードは、裏を持たないので裏返ることが出来ません。
両面カードでないカードは、表と裏を持っているので、変身できません。

裏返すことと変身することは、カードの面を逆にするという動作は似ていますが、全然違うルールなんです。

◎ 「両面カードはチェックリスト・カードが使えるらしいですね。これ、どうやって使うの?」

これ、使い方説明します。

プレイヤーは、両面カードが非公開領域にある場合に、それが同じ領域にある他のカードと区別が付かない状態にしなければならない。そのために、両面カードのオーナーは完全に不透明なスリーブを用いるか、チェックリスト・カードで置換しなければならない。(CR711.9)
チェックリスト・カードが使用される場合、それが表わす両面カードは、ゲームの開始(中略)前に脇に置かれ、ゲーム中に使用可能な状態でなければならない。(CR711.9a)
チェックリスト・カードを使う場合、(中略)チェック欄のうち1個だけに印をつけ、そのチェックリスト・カードがどの両面カードを表しているのかを示す。(CR711.9b)
チェックリストカードが公開領域に入った場合、そのチェックリスト・カードは脇に置かれ、代わりにその両面カードを使用する。チェックリスト・カードが裏向きで追放された場合、そのカードが何であるかを隠すために裏向きのチェックリスト・カードを用いる。(CR711.9d)
使用しているチェックリスト・カード1枚ごとに、その表しているカードの実物が1枚必要であるが、それらはサイドボード・カードとしては扱われず、対戦相手に提示される必要もない。(MTR3.5)

・両面カードを使うデッキで完全不透明なスリーブを使わない場合は、チェックリスト・カードを使わなきゃダメなんだ。
・本物のカードは、ゲーム中に使えるように脇に置いておこうか。
・チェックリスト・カードは、それが表すカードのチェック欄に印をつけて使うのさ。
・チェックリスト・カードが公開領域に入ったら、それを脇にどけて、代わりに本物を使うんだ。裏向きで追放されたなら、チェックリスト・カードのままでいいよ。
・チェックリスト・カードと同じ枚数だけ本物のカードが必要さ。ただし、それはサイドボ-ドじゃないし、ゲーム前に相手に見せる必要も無い。

もうちょっとまとめます。

前提条件:スリーブがちょっとでも透けるなら、チェックリスト・カードを使う。

(a)示したいカードのチェック欄にチェックをつけて、デッキに入れる。
間違っても2つ以上チェックしないように

(b)ゲームが始まる前に、本物のカードをいつでも使えるように準備する。
本物のカードは、デッキ内のチェックリスト・カード1枚につき1枚必要。それらはいつでも手に取れる場所に置いておくべきだが、サイドボードとして扱われる訳ではなく、ゲーム前に対戦相手に見せる必要は無い。

(c)チェックリスト・カードが公開領域(※)に入ったら、チェックリスト・カードの方を脇にどけて本物のカードを使う。
例外として、裏向きに追放された場合は、チェックリスト・カードを使う。

※墓地、戦場、スタック、追放、アンティ、統率領域。

こんな感じです。よく理解して使いましょう…ということ。

○ FLの感想

イニストラードの情報として初めて両面カードが発表されたとき、FLは衝撃を受けました。
MtGのカードといえば裏面はいつものアレ、という常識が覆されてビックリしたのを、よく覚えています。
そして、新しいメカニズムには新しいルールがつきもの。FLは必死で調べて、自分でもチェックリスト・カードを使ってみたりして覚えました。
イニストラードはもうすぐスタンダードから落ちてしまいますけど、これを忘れず、正しくMtGを遊び尽くしたいです。

それではFLでした。
今日のFLのメモは「『~から墓地に置かれたとき』という能力について」でございます。

カードが墓地に置かれたときに何か能力を発揮する、という能力は、MtGの世界では珍しくありません。
「~からいずれかの墓地に置かれたとき(置かれるたび)」「死亡したとき(死亡するたび)」という風に書かれている能力は、俗語で「PIG能力」と呼ばれています。Put Into Graveyardで誘発する能力、PIG能力。
一番よく見るのは、カードが戦場から墓地に置かれたときに誘発する能力でしょう。
Rancor / 怨恨 (緑)
エンチャント ― オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+0の修整を受けるとともにトランプルを持つ。
怨恨が戦場からいずれかの墓地に置かれたとき、怨恨をオーナーの手札に戻す。

最近のカードだと、クリーチャーが戦場から墓地に置かれたときの能力は「死亡したとき」と書かれています。(もっと言うと、昔のカードのオラクルも「死亡したとき」に直されています。)
Doomed Traveler / 宿命の旅人 (白)
クリーチャー ― 人間(Human) 兵士(Soldier)
宿命の旅人が死亡したとき、飛行を持つ白の1/1のスピリット(Spirit)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
1/1

《怨恨》と《宿命の旅人》は、ちょっと書き方が違いますが、誘発型能力の扱い方は全く同じです。
これらを、PIG能力の中でも「死亡誘発」と言います。

墓地に置かれたときなら、何処から来たのかなんて関係なく誘発する能力もあります。
Emrakul, the Aeons Torn / 引き裂かれし永劫、エムラクール (15)
伝説のクリーチャー ― エルドラージ(Eldrazi)
引き裂かれし永劫、エムラクールは打ち消されない。
あなたが引き裂かれし永劫、エムラクールを唱えたとき、このターンに続いて追加の1ターンを行う。
飛行、プロテクション(有色の呪文)、滅殺6
引き裂かれし永劫、エムラクールがいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれたとき、オーナーは自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。
15/15

戦場から墓地に置かれたらもちろん誘発するし、手札から捨てて墓地に置かれても誘発するし、ライブラリーが削られて墓地に置かれたときも誘発します。

PIG能力は他にも考えられますが、今回は上に紹介した2種類についてメモしていきます。

○ PIG能力のまわりで起こる色々

PIG能力は単純そうに見えて、実は結構難しいんです。

◎ 「《安らかなる眠り》があるとき、《怨恨》が破壊されました。これ、手札に戻る?」
Rest in Peace / 安らかなる眠り (1)(白)
エンチャント
安らかなる眠りが戦場に出たとき、すべての墓地にあるすべてのカードを追放する。
いずれかのカードかトークンが、いずれかの領域からいずれかの墓地に置かれる場合、代わりにそれを追放する。

これ、戻りません。

これは前回の記事「《安らかなる眠り》について」の復習です。
http://funloving.diarynote.jp/201304152155459874/
ここでは簡単な結論だけ書きます。詳しく知りたい人は上のリンクへどうぞ。

《怨恨》が破壊される場合、《安らかなる眠り》の置換効果せいで、《怨恨》は墓地に置かれる代わりに追放されます。
なので、《怨恨》の「戦場から墓地に置かれたとき」の能力は、そんな状況になっていないので誘発しない…ということ。

◎ 「《血の芸術家》と別のクリーチャー3体が居る状態で《至高の評決》が撃たれ、全てのクリーチャーが墓地に置かれました。これ、《血の芸術家》以外のクリーチャーの分もライフ吸える?」
Blood Artist / 血の芸術家 (1)(黒)
クリーチャー ― 吸血鬼(Vampire)
血の芸術家か他のクリーチャーが死亡するたび、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは1点のライフを失い、あなたは1点のライフを得る。
0/1
Supreme Verdict / 至高の評決 (1)(白)(白)(青)
ソーサリー
至高の評決は打ち消されない。
すべてのクリーチャーを破壊する。

これ、吸えます。

戦場を離れた時の能力は、指定されたパーマネントが戦場を離れた時、あるいはフェイズ・イン 位相のパーマネントがそのオーナーがゲームから除外されたことによってゲームから除外された時に誘発する。これらは、「[このオブジェクト]が戦場を離れたとき、…/When [このオブジェクト] leaves the battlefield,」、あるいは「[何か]が戦場から墓地へ置かれるたび、…/Whenever a [何か] is put into a graveyard from the battlefield,」と書かれている。(CR603.6c)
戦場を離れた時の能力(中略)については、そのイベントの直後ではなく直前のオブジェクトの存在や状態に基づいて誘発する。それらの能力が誘発するかどうかを判断するために、ゲームは「過去の状態を見る」必要がある。(CR603.6d)

・「戦場から墓地へ置かれるたび」って書いてある能力は、戦場を離れた時の能力として扱うよ。
・戦場を離れた時の能力が誘発するかどうかは、それが戦場を離れる「直前」のゲームの状態によるんだ。(普通は「直後」を参考にするんだけど、これは例外の1つなんだよね。後で詳しく話すね。)

《血の芸術家》のPIG能力は、「死亡するたび」(「戦場から墓地へ置かれるたび」と同義)と書いてあるので、戦場を離れた時の能力です。
これは、「クリーチャーが死亡する」というイベントの直前の状態によって、誘発するかどうかが決まります。

全てのクリーチャーが死亡する、というイベントの直前は、「《血の芸術家》と別のクリーチャー3体が戦場に居る」という状態でした。
つまり、「4体のクリーチャーが死亡した」というイベントは「《血の芸術家》が戦場に居る」という状態を参考に考えられます。

よって、《血の芸術家》のPIG能力は4回誘発する…ということ。

分かりづらい!

映画フィルムのコマを想像してみてください。

コマAには、《至高の評決》が全てのクリーチャーを破壊する直前の盤面が映っています。
隣のコマBは、クリーチャーが破壊された直後の盤面です。
つまり、コマAとコマBの間に、「全てのクリーチャーが墓地に置かれる」というイベントがありました。

《血の芸術家》の能力が誘発するかどうかは、コマAだけを見て考えます。
戦場に《血の芸術家》が居ますね。なので、《血の芸術家》のPIG能力は有効です。

もし仮に、コマBを見て考えるとしたら?
戦場に《血の芸術家》は居ません。なので、《血の芸術家》のPIG能力は、戦場にいないため無効という解釈になります。

◎ 「《引き裂かれし永劫、エムラクール》になった《クローン》が墓地に置かれました。これ、PIG能力はどうなる?」
Clone / クローン (3)(青)
クリーチャー ― 多相の戦士(Shapeshifter)
あなたは、クローンが戦場に出ているクリーチャー1体のコピーとして戦場に出ることを選んでもよい。
0/0

これ、誘発しません。
1つずつ見ていきましょう。

誘発型能力が誘発するかどうかは、どうやって決めるの?

通常、そのイベントが誘発条件を満たしたかどうかのチェックを行なうのは、イベントの直後に存在するオブジェクトについてである。その時点で存在する継続的効果は、その誘発条件が何であるか、また、そのイベントに関与するオブジェクトが何であるかを決定するために用いられる。しかし、誘発型能力の中には、特別に扱わなければならないものもある。戦場を離れた時の能力、パーマネントがフェイズ・アウトしたときに誘発する能力、すべてのプレイヤーが見ることができるオブジェクトが手札やライブラリーに移動したときに誘発する能力、オブジェクトが外れたときに誘発すると書かれている能力、プレイヤーがオブジェクトのコントロールを失ったときに誘発する能力、プレイヤーがある次元からプレインズウォークしたときに誘発する能力については、そのイベントの直後ではなく直前のオブジェクトの存在や状態に基づいて誘発する。それらの能力が誘発するかどうかを判断するために、ゲームは「過去の状態を見る」必要がある。(CR603.6d)

・誘発型能力が誘発するかどうかは、普通、誘発しそうなイベントの「直後」の状態を参考にするんだよ。ただ例外もあってね、さっきの《血の芸術家》はトクベツってことなの。(さっき「後で話す」って言ったことだよ。)

普通、何かイベントが起こったら、その直後のゲームの状態(コマB)を見て考えます。
ただし、《血の芸術家》の能力がそうであるように、例外としてイベントの直前の状態(コマA)を見るものがいくつかあります。

つまり、誘発型能力が誘発するかどうかは、イベントの直前か直後かの状態を参考に決めるけど、どっちにするかはモノによる…ということ。

じゃあ《引き裂かれし永劫、エムラクール》の場合は?

CRの文章の真ん中らへんに、イベントの直前の状態を見る能力が書いてあります。

(1)戦場を離れた時の能力
(2)パーマネントがフェイズ・アウトしたときに誘発する能力
(3)すべてのプレイヤーが見ることができるオブジェクトが手札やライブラリーに移動したときに誘発する能力
(4)オブジェクトが外れたときに誘発すると書かれている能力
(5)プレイヤーがオブジェクトのコントロールを失ったときに誘発する能力
(6)プレイヤーがある次元からプレインズウォークしたときに誘発する能力

難しい文章のままですが、それっぽいのは(1)だけですね。
では《引き裂かれし永劫、エムラクール》のPIG能力は(1)に該当するかというと、こんなルールがあります。

カードが特定の領域に「いずれかの領域から/from anywhere」置かれたことによって誘発する能力は、そのオブジェクトが戦場から移動したとしても、戦場を離れた時の能力としては扱わない。(CR603.6c)

・「いずれかの領域から」って書いてある誘発型能力は、戦場を離れた時の能力じゃないよ。

《引き裂かれし永劫、エムラクール》のPIG能力には、「いずれかの領域から」と書いてあります。よって、(1)には該当しません。
つまり、《引き裂かれし永劫、エムラクール》のPIG能力が誘発するかどうかは、例外的な能力ではないので、イベントの直後の状態(コマB)を参考に決める…ということ。

で、どうなるの?

《引き裂かれし永劫、エムラクール》になった《クローン》が墓地に置かれる、というイベントの直後の状態(コマB)を見てみましょう。
墓地に置かれた《クローン》があります。それはもはや《引き裂かれし永劫、エムラクール》のコピーではないので、《引き裂かれし永劫、エムラクール》のPIG能力を持っていません。コマBだけをよく見ても、誘発しそうな能力がどこにもありません。

つまり、参考にするゲームの状態の中に、誘発しそうなPIG能力は存在しないので、PIG能力は誘発しない…ということ。

おまけ

《荒廃鋼の巨像》のコピーになった《クローン》が墓地に置かれる場合、ライブラリーに戻る能力は誘発します。
Blightsteel Colossus / 荒廃鋼の巨像 (12)
アーティファクト クリーチャー ― ゴーレム(Golem)
トランプル、感染
荒廃鋼の巨像は破壊されない。
荒廃鋼の巨像がいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれる場合、代わりに荒廃鋼の巨像を公開し、それをオーナーのライブラリーに加えて切り直す。
11/11

紛らわしいですが、《荒廃鋼の巨像》のライブラリーに戻る能力はPIG能力ではありません。「代わりに」と書いてあるので置換効果です。
なので、誘発するかどうかはイベントの直前か直後を…ということは全く関係ありません。「墓地に置かれる」というイベントが「公開し、ライブラリーに入れて切り直す」というイベントに置換されます。
(置換効果については、「《安らかなる眠り》について」(http://funloving.diarynote.jp/201304152155459874/)に詳しく書きましたので、そちらへどうぞ。)

○ FLの感想

FLは最初、「墓地に置かれたとき」って書いてある能力は全部一緒だと思っていて、こんなに奥が深い能力だなんて思いもしませんでした。
だから、PIG能力で難しいことにぶつかるたび、「こんな難しさもあるんだ…」と毎回ビックリします。特に《クローン》絡みの話は、今でも難しくて頭がクラクラするくらいです。このメモも、うまく書けたかどうか自信がありません。
でも、まだまだFLの知らないPIG能力の難しさはたくさんあるでしょう。これからもたくさん頭を使います。
まずは頑張ってこれを覚えて、正しくMtGを遊び尽くしたいです。

それではFLでした。
今日のFLのメモは「《安らかなる眠り》について」でございます。
Rest in Peace / 安らかなる眠り (1)(白)
エンチャント
安らかなる眠りが戦場に出たとき、すべての墓地にあるすべてのカードを追放する。
いずれかのカードかトークンが、いずれかの領域からいずれかの墓地に置かれる場合、代わりにそれを追放する。

ラヴニカへの回帰に収録されているレアのエンチャント。これが出た時、墓地のカードを全て追放し、それ以降に墓地に置かれようとするカードも全て代わりに追放します。
墓地対策カードとしては、これでもか!って感じですね。ゾンビやリアニメイトといった墓地を使うデッキがあるスタンダード、《死儀礼のシャーマン》《タルモゴイフ》が強いモダン、コンボパーツとしても活躍できるレガシー…と、たくさんのフォーマットでよく名前を聞くカードです。

○ 《安らかなる眠り》のまわりで起こる色々

今回はこのカードに注目して、FLがメモしておきたいと思ったことを書いていきます。

◎ 「《安らかなる眠り》に《帰化》を撃ちました。これ、《安らかなる眠り》と《帰化》はどこに置かれる?」
Naturalize / 帰化 (1)(緑)
インスタント
アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。

これ、《安らかなる眠り》は追放され、《帰化》は墓地に置かれます。
何でか書いていきますが、ちょっと長くなるので、1つずつ見ていきましょう。

そもそも、「墓地に置く代わりにそれを追放する」ってのは、どういうものぞや?

「代わりに/instead」という語を用いる効果は置換効果である。(CR614.1a)
置換効果はイベントが発生する際に継続的に適用される。事前に固定されるわけではない。この種の効果は発生しうる特定のイベントを待ち、その効果の全部あるいは一部を他のイベントで置換する。(CR614.1)

・「代わりに」って書いてあるのは置換効果って言うんだ。
・置換効果は、「こういうイベントがあったら、それをああいうイベントに変えちゃうぜ!」というものさ。

こんな感じでしょうか。
《安らかなる眠り》の後半にも、「代わりに」って書いてありますね。なので、これはルール的には置換効果と呼ばれるものの一種…ということ。
(「代わりに」という言葉を使っていない置換効果もあるんですが、それはまた別の話。)

《帰化》を解決するとき、この置換効果はどうはたらくの?

ルール文書の、「呪文や能力の解決」について書いてあるところに、こんな文章がありました。

呪文や能力のコントローラーは、書かれた順序で指示に従う。但し、置換効果によってこれらの行動が変更され、以前の指示の意味が変わることもある。(CR608.2c)

・呪文や能力を解決していくとき、その手順のうちcでは、その呪文に書いてあることを上からやっていく。置換効果はこのときに適用するのさ。(これは手順c、ということを覚えておいてくれるかな。あとで使うんだ。)

《帰化》が《安らかなる眠り》を壊そうとするとき、そうする前に《安らかなる眠り》の置換効果が適用されます。「《安らかなる眠り》を破壊する」ということが、「《安らかなる眠り》を破壊する。それを墓地に置く代わりに追放する」といった感じに読み替えられてから、実際にそうする訳です。
つまり、《安らかなる眠り》が《帰化》で壊される場合、《安らかなる眠り》そのものは自身の置換効果によって追放される…ということ。

じゃあ、《帰化》はどうなるんだ?

インスタント 呪文やソーサリー 呪文の解決の最終段階として、その呪文はスタックからオーナーの墓地に置かれる。(CR608.2k)
解決されるオブジェクトがインスタント 呪文やソーサリー 呪文や能力である場合、その解決はいくつかの手順に分かれる。rule 608.2a と rule 608.2b で記された手順を先に踏み、その後で rule 608.2c から rule 608.2j で記された手順を適切な順で行なう。その後、最後にrule 608.2k に記された手順を行なう。(CR608.2)

・kの手順(一番最後さ)で、その呪文がスタックから墓地に置かれるんだ。
・インスタントやソーサリーを解決するときの手順は、「最初にaとb → c~jを適切な順番で → 最後にk」さ。(ホントは、aは何たらbは何たら、とか全部説明するんだけど、ややこしいからここでは省くよ。アルファベットの順番だけ覚えておいてくれるかな?)

呪文を解決する、と一口に言っても、実は凄く細かい手順がたくさん踏まれています。
全部見ていくと、それだけで記事が1つ出来ちゃうっぽいので、必要なところだけつまみ食いしましょう。

《帰化》を解決するとき、《帰化》自体が墓地に置かれようとするのは、手順k。
「呪文がスタックから墓地に置かれる」という手順kは、インスタントやソーサリーを解決する手順の中で、必ず一番最後にきます。どんなにややこしいステップを踏まなきゃならないとしても、これは必ずしんがりなんです。
一方、さっき見た「置換効果を適用する」ってことは、手順cです。

「最初にaとb → c~jを適切な順番で → 最後にk」

・手順c…《安らかなる眠り》が破壊される。《安らかなる眠り》は墓地に置かれる代わりに追放される。
・手順k…《帰化》が墓地に置かれる。

こうして見ると、《帰化》は《安らかなる眠り》を壊した(そしてそれが追放された)あとで墓地に置かれることが分かります。
つまり、《帰化》が墓地に置かれようとするとき、《安らかなる眠り》はもう戦場にはありません。という訳で、《帰化》は普通に墓地に置かれる…ということ。

おまけ

《ドライアドの闘士》を《殺害》で壊したら、《殺害》は墓地に置かれます。
Dryad Militant / ドライアドの闘士 (緑/白)
クリーチャー ― ドライアド(Dryad) 兵士(Soldier)
インスタント・カード1枚かソーサリー・カード1枚がいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれる場合、代わりにそれを追放する。
2/1
Murder / 殺害 (1)(黒)(黒)
インスタント
クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。

さっきの話と同じく、手順cで《ドライアドの闘士》が破壊され、それから手順kで《殺害》が墓地に置かれるからです。

ところが、《ドライアドの闘士》に《灼熱の槍》を撃ったときは、《灼熱の槍》は追放されます。
Searing Spear / 灼熱の槍 (1)(赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。灼熱の槍はそれに3点のダメージを与える。

この場合、さっきの話の手順cでは、《ドライアドの闘士》が3点のダメージを受けます。だけど、この時点で《ドライアドの闘士》は3点のダメージを受けただけで、まだ戦場にいます。「致死ダメージを受けたから破壊される」というのは、呪文の解決が全て終わってから起こることなんです。
その後、手順kで《灼熱の槍》が墓地に置かれようとします。そのとき《ドライアドの闘士》の置換効果が適用されて、《灼熱の槍》は追放されます。
これで《灼熱の槍》の解決が終わりました。そうして初めて、「《ドライアドの闘士》は致死ダメージを受けたから破壊される」というイベントが起きます。こうして、《ドライアドの闘士》は戦場を離れるのです。(これは「状況起因処理」と呼ばれるものの1つです。詳しく書こうとすると、1記事どころか2記事にも3記事にもなりそうなので、それはまた別の話ということで。)

◎ 「《安らかなる眠り》があるとき、《怨恨》が破壊されました。これ、手札に戻る?」
Rancor / 怨恨 (緑)
エンチャント ― オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+0の修整を受けるとともにトランプルを持つ。
怨恨が戦場から墓地に置かれたとき、怨恨をオーナーの手札に戻す。

これ、戻りません。

イベントが置換された場合、それは決して起こったことにならない。(CR614.6)

《安らかなる眠り》は、「墓地に置かれる」というイベントを「追放される」というイベントに置換します。
今回の場合、「《怨恨》が墓地に置かれる」というイベントが、「《怨恨》が追放される」に置き換えられます。「《怨恨》が墓地に置かれる」というイベントは、決して起こったことになりません。つまり、「墓地に置かれたとき」の能力は誘発しない…ということ。

◎ 「じゃあ、《安らかなる眠り》があるときにクリーチャーが破壊されました。手札に《悲劇的な過ち》があるんだけど、これ、陰鬱状態?」
Tragic Slip / 悲劇的な過ち (黒)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで-1/-1の修整を受ける。
陰鬱 ― このターン、いずれかのクリーチャーが死亡していた場合、代わりにそのクリーチャーはターン終了時まで-13/-13の修整を受ける。

これ、陰鬱してません。

「死亡する/Die」という語は「~が戦場から墓地に置かれる」ことを意味する。(CR700.6)

「死亡する」というのは、「戦場から墓地に置かれる」ということ。だから、考え方はさっきの《怨恨》とまったく同じです。
《安らかなる眠り》があるときにクリーチャーが破壊されると、「墓地に置かれる」代わりに「追放される」ことになります。「クリーチャーが死亡する」というイベントは決して起こったことにならないので、陰鬱の条件は絶対達成されない…ということ。

《安らかなる眠り》があると「何かが墓地に置かれる」というイベントが起こらない、ということは、《怨恨》や陰鬱以外にも色々なことに影響します。
スタンダードだと、《ゲラルフの伝書使》などの不死が誘発しないとか。もっと広いフォーマットだと、《電結の荒廃者》などの接合が誘発しないとか。

○ FLの感想

《安らかなる眠り》が《帰化》で壊されたら?というところ、こんなに文章が長くなってしまうとは思いませんでした…。
書き終わった今考えると、FLも理解するのにめちゃくちゃ時間がかかったので、説明が長くなっても仕方ないのかもしれませんけど。
それに比べて、《怨恨》や陰鬱のところはちょっと短いですが、これも凄く大事だと思っています。
FLの周りでも、《悲劇的な過ち》を陰鬱してると間違って撃っちゃった人が何人か居ます。FL自身もその1人です。

《安らかなる眠り》、難しい。でも、これを覚えて、正しくMtGを遊び尽くしたいです。

それではFLでした。
今日のFLのメモは「フラッシュバックについて」でございます。

現在のスタンダードは、イニストラード・ブロック、ラヴニカへの回帰ブロックと基本セット2013。
そのうちイニストラード・ブロックには、「フラッシュバック」という能力を持ったカードがあります。

○ 「フラッシュバック」とは?
Purify the Grave / 墓場の浄化 (白)
インスタント
いずれかの墓地にあるカード1枚を対象とし、それを追放する。
フラッシュバック(白)(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、そのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後それを追放する。)

フラッシュバックは、ある種のインスタントやソーサリー・カードに存在する、2つの常在型能力を表すキーワードであり、その1つはそのカードが墓地にある間に機能し、もう1つはそのカードがスタックにある間に機能する。「フラッシュバック [コスト]/Flashback [コスト]」は、「このカードのマナ・コストを払うのではなく[コスト]を支払うことで、あなたはこのカードを墓地から唱えてもよい」「フラッシュバック・コストが支払われている場合、このカードがスタックから離れる場合、他の場所に移動させるかわりに追放する」ということを意味する。フラッシュバック 能力を使って呪文を唱えることは、rule 601.2b、rule 601.2e-g の代替コストを支払うことに関するルールに従う。(CR702.32a)

とりあえずルール文書からも引用してみましたが、FLは難しい文章苦手なので、何とか簡単にしてみます。

・インスタントかソーサリーが持つ2つの能力をまとめて「フラッシュバック」と呼ぶ。
・1つ目は「書かれているコストを払って、墓地から唱えてもよい」という能力。これは、そのカードが墓地にある間に機能する。
・2つ目は「フラッシュバック・コストを払ってこれを唱えた場合、このカードがスタックから離れたら、他のどこでもなく追放領域に動かす」という能力。これは、そのカードがスタックにある間に機能する。

…簡単になってる? なってないような気がしますorz

(1)これ、こっちのフラッシュバック・コストを払ってくれたら、墓地から唱えていいよ!
(2)あ、フラッシュバック・コスト使ってこれ唱えた? じゃあこれ、終わったら追放しといてね!

こんな感じでしょうか?

○ フラッシュバックについて起こる色々

FLはよくフラッシュバックについて悩みます。だから今回記事にしました。
と言っても、普通にフラッシュバックを持ってる呪文は、そんなに難しくないと思います。
この能力が難しいのはコイツのせい。
Snapcaster Mage / 瞬唱の魔道士 (1)(青)
クリーチャー ― 人間(Human) ウィザード(Wizard)
瞬速
瞬唱の魔道士が戦場に出たとき、あなたの墓地にあるインスタント・カード1枚かソーサリー・カード1枚を対象とする。それはターン終了時までフラッシュバックを得る。そのフラッシュバック・コストは、それのマナ・コストに等しい。(あなたはあなたの墓地にあるそのカードを、そのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後それを追放する。)
2/1

みんなご存じ瞬唱さん。
スタンダードだけじゃなくて、モダンでもレガシーでもヴィンテージでも、青ければとりあえず入ってるヤツですね。
墓地にインスタントかソーサリーがあれば、それにフラッシュバックを与えてしまいます。

これから書いていく、FLがメモしておきたいと思ったことは、全部「インスタントやソーサリーがフラッシュバックを得たから起こってること」です。
他にもフラッシュバックを与える呪文はありますが、この記事では全部瞬唱さんがやったってことにします。
実際、大会とかで見かけるとしたら、ほとんどホントに瞬唱さんのせいだと思います…。

◎ 「《瞬唱の魔道士》で《青の太陽の頂点》にフラッシュバックをつけました。これ、ライブラリーに戻る?」
Blue Sun’s Zenith / 青の太陽の頂点 (X)(青)(青)(青)
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードをX枚引く。青の太陽の頂点をオーナーのライブラリーに加えて切り直す。

これ、戻りません。
さっき「フラッシュバックとは?」の項目で見た中に、こんな文章がありました。

「フラッシュバック・コストが支払われている場合、このカードがスタックから離れる場合、他の場所に移動させるかわりに追放する」(CR702.32a)

なので、この《青の太陽の頂点》は、自分の効果でライブラリーの中に行こうとしますが、フラッシュバックの効果のせいで代わりに追放される…ということ。

◎ 「《瞬唱の魔道士》で《祖先の幻視》にフラッシュバックをつけました。これ、0マナで唱えられる?」
Ancestral Vision / 祖先の幻視
〔青〕 ソーサリー
待機4 ― (青)(このカードをあなたの手札から唱えるのではなく、(青)を支払うとともにそれを時間(time)カウンターが4個置かれた状態で追放する。あなたのアップキープの開始時に、時間カウンターを1個取り除く。最後の1個を取り除いたとき、それをそのマナ・コストを支払うことなく唱える。)
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを3枚引く。

これ、唱えられません。

マナ・コストがマナ・シンボルを含まないことがある。これは、支払うことができないコストを意味する。能力も、マナ・コストを持たないオブジェクトのマナ・コストを元にコストを決めた場合に、支払うことができないコストを持つことがある。支払うことができないコストを持つ呪文を唱えたり、能力を起動したりすることは適正な処理であるが、支払うことのできないコストを支払おうとすることは不適正な処理である。(CR117.6)

・マナ・コストのところにマナ・シンボルが書いてない? それは「支払うことができないコスト」だね。それをもとに能力のコストが決まるなら、それも「支払うことができないコスト」だ。
・「支払うことができないコスト」を持ってる呪文を唱えたい? そりゃあんた、支払えないコストを払おうとするのは不適正さ。

だいたいこうです。
《祖先の幻視》は「支払うことができないコスト」を持っています。なので、それのフラッシュバック・コストも「支払うことができないコスト」です。
支払えないコストを支払おうとするのはルール上ダメなので、《祖先の幻視》はフラッシュバック・コストが支払えない…ということ。

◎ 「《瞬唱の魔道士》で《ミジウムの迫撃砲》にフラッシュバックをつけました。これ、超過で唱えられる?」
Mizzium Mortars / ミジウムの迫撃砲 (1)(赤)
ソーサリー
あなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。ミジウムの迫撃砲はそれに4点のダメージを与える。
超過(3)(赤)(赤)(赤)(あなたはこの呪文をその超過コストで唱えてもよい。そうした場合、ミジウムの迫撃砲はあなたがコントロールしていない各クリーチャーにそれぞれ4点のダメージを与える。)

これ、無理です。

代替コストを持つ呪文が存在する。代替コストは呪文の文章に記されているか、または他の効果によって適用されるコストで、そのコントローラーが呪文のマナ・コストを支払うのではなく支払うことができるコストのことである。代替コストは「あなたは[このオブジェクトの]マナ・コストを支払うのではなく[処理]してもよい/You may [処理] rather than pay [このオブジェクトの] mana cost」あるいは「あなたは[このオブジェクトを]そのマナ・コストを支払うことなく唱えてよい/You may cast [このオブジェクト] without paying its mana cost.」と書かれている。キーワードとして記される代替コストも存在する。(CR117.9)
単一の呪文を唱えるに際しては、代替コストは1つしか適用できない。(CR117.9a)

・「マナ・コストを支払うのではなく~してもよい」「マナ・コストを支払うことなく唱えてよい」って書いてあったら、それは代替コストって言います。
・代替コストは1つの呪文に1つまで!

フラッシュバック・コストは、「マナ・コストを支払うのではなく」と書いてあるので、代替コストです。
超過コストも、「マナ・コストを支払うのではなく」と書いてある(CR702.94a)ので、代替コストです。
ですが、1つの呪文には1つしか代替コストを使えません。《ミジウムの迫撃砲》を墓地から唱えるためには、フラッシュバック・コストを支払わなければならないので、超過コストの方を代替コストにするのは諦めよう…ということ。

このことと同じ理屈で、例えば「《Force of Will》をピッチでフラッシュバック」という行動も出来ないと分かります。《Force of Will》をピッチで唱えるのも、代替コストなんです。
ちょっと応用すると、「《全知》がある状態で、何かの呪文をタダでフラッシュバック」ということも出来ないってことも分かります。「マナ・コストを支払うことなく唱えてもよい」も、代替コストなんです。

◎ 「《瞬唱の魔道士》で《冒涜の行動》にフラッシュバックをつけました。今戦場に居るクリーチャーは全部で3体だけど、これ、何マナで唱えられる?」
Blasphemous Act / 冒涜の行動 (8)(赤)
ソーサリー
冒涜の行動を唱えるためのコストは、戦場に出ているクリーチャー1体につき(1)少なくなる。
冒涜の行動は各クリーチャーにそれぞれ13点のダメージを与える。

これ、3マナ軽くなって(5)(赤)です。

呪文を唱えるために代替コストを支払う場合、その呪文に影響を及ぼす追加コストやコスト増加、コスト減少はその代替コストに対して適用される。(CR117.9d)

コストを重くしたり軽くしたりするのは、代替コストにかかるんだぜ!ってことです。
《冒涜の行動》のフラッシュバック・コストは(8)(赤)で、それが《冒涜の行動》の効果で3マナ軽くなるので、これは(5)(赤)で唱えられる…ということ。

○ FLの感想

と、ここまで書いて、1回下書きが全部吹っ飛びました。ちょっとたくさん絶望しましたけど、何とか書き直してきました。疲れたorz

瞬唱さん、ホントに人を困らせるのが好きなヤツですね。
具体例で書いたことは、全部FLのまわりで実際に起こったことです。いくつかはジャッジを呼んだりしました。きっと悩んだ人は他にも居るはず。
うんうん唸りながら調べましたので、これを覚えて、正しくMtGを遊び尽くしたいです。

それではFLでした。

FLの初投稿。

2013年4月13日
今日のFLのメモは「初投稿のご挨拶」でございます。

Magic; the Gathering(以下MtG)というゲームは、とても奥が深いものです。
幾枚ものカードが、様々な人の手で組み合わされる。そしてゲームが行われる。有り得る場面、起こり得る展開は、星の数でも足りないほど無限大でしょう。
世界中の人たちが、1つのゲームを通して交流する。それまで縁もゆかりもなかった人と、同じ話題で盛り上がることが出来る。コミュニケーション・ツールとして凄まじい力を持っていると思います。
FLがMtG大好きなのは、この辺の魅力にとりつかれたからです。

で、FLはもっともっとMtGの多様性を楽しみ、たくさんの人とコミュニケーションしたいので、このゲームのことをもっとよく知りたいです。
MtGってルール難しい、としょっちゅう感じます。初めてMtGに触ったときも、とりあえず大まかな流れを掴むまでが大変でした。ゲームに馴染んだ今でも、分からないことがたくさん見つかって大変です。
だけどFLは、「MtGをもっと遊び尽くしたい!」と燃えているので、どうやって遊び尽くせばいいか調べたりもします。
ルール文書も頑張って読みます。難しいし長いしで頭痛くもなりますけど、それでMtGがどんどん楽しくなっていくので。

この日記は、そうやってFLが楽しむために調べたことをメモしていく場所として作りました。
どちらかというと自分用に書いていくつもりですが、少しでもみんなと一緒にMtGを楽しみたいと思います。
ルール文書と仲良くなりたいので、そっちも頑張って引用できたらいいな。難しさに勝てたら書いていきます。
よろしくお願いします。

それではFLでした。

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